マカオで最近開催された「アジアIRエキスポ」では、eスポーツイベントが注目を集めた。エキスポに参加したパネリストたちは、eスポーツは若い旅行者を惹きつけ、アジアのテクノロジー経済を推進するうえでも大きな力を持っていると主張した。
マカオ大学の調査によると、中国のZ世代はデジタルと繋がり、マルチタスクに熟練している。ライフスタイルの中だけでなく、カジノゲーム、eスポーツ、ビデオゲームを好む傾向があるという。
香港に本拠を置くeスポーツ団体Talon Esportsのショーン・チャン最高経営責任者(CEO)は、中国国内および中国とその周辺地域間の交通状況が良ければ、香港とマカオはeスポーツイベントやフェスティバルのハブとなる可能性があると見ている。
一方で、チャン氏は、eスポーツ関連のイベントはファンが中心となるため、それ以外の人たちがそのイベントを理解するのは難しい場合があることから、販売にあたっては、eスポーツとビデオゲームを理解する適切な人材が必要であるとの見解を示した。
そのうえで、チャン氏は、eスポーツとコミュニティ交流を融合したローカルエリアネットワーク(LAN) パーティーを主催する米国のDreamhackを例として挙げた。
Talon Esports共同創設者兼最高財務責任者のジャロルド・タム氏は、アジアではeスポーツイベントが拡大する可能性は高いと話す。
タム氏は、「昨年9月、シンガポールで初の国際トーナメントを開催し、成功を収めた。400ドルのチケットは完売し、スタジアムには2万人が訪れた。 韓国でも多くの人が集まるeスポーツ大会がたくさんある。先月にはバンコクでもイベントを開催した」と説明した。そのうえで、「(さまざまな国で)、eスポーツイベントにさまざまな層やファン層を惹きつける可能性は大きい」と付け加えた。
観光局もeスポーツイベントに注目
Talon Esportsは、観光局と協力して、アジアでのeスポーツイベントの拡大を目指しているところだ。
Dreamhackのディレクターであるシルビア・クリスティーナ・アマヤ氏は、同社はアジアのeスポーツ視聴者をより深く理解するために、eスポーツのタレントをマネージメントする会社など地域の専門家と協力していることを明かした。
アマヤ氏は「eスポーツは私たちにとって新しい市場」と話す。
Dreamhackは、2023年5月に2日間のモバイル ゲームイベントを開催。アジアに進出した。
Neomancerの共同設立パートナーであるハイ・ン氏は、eスポーツは単なるイベントとしてだけではなく、コミュニティを巻き込んでファン化を進めるなど、リピートしてもらう戦略が必要であると指摘する。
ン氏は「イベントは、彼らをここ(旅先)に、ただ連れてくるだけのもの。現地での経験やアクティビティなど、(彼らの)周りで起こることが、彼らをリピートさせることにつながる」と話した。
※編集部注:この記事は、アジア太平洋地域を対象とする旅行業界情報誌「TTGアジア」から届いた英文記事を、同社の正式な許諾を受けてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事: E-sports events could boost Asia’s tourism: experts
著者: Prudence Lui