消費税の表示ルール、今回の値上げでの変更ポイントは? -旅行業と消費税(4)

旅行・観光ビジネスで役立つ税知識<第6回>

こんにちは。税理士の菊池美菜です。

2004年(平成16年)から消費税は、総額表示が義務付けられました。それ以前は、「100円(105円)」というような値札がありましたが、同年以後は、値札やメニューは「105円」と記載することが義務になりました。

2014年(平成26年)4月に8%への消費税率アップが予定されていますが、総額表示だと、値札やメニューへの記載が「108円」になり、あたかも値上げしたかの印象を与えます。そのため、消費税アップ分を価格に上乗せできず、「105円」のまま販売する事業者がでてくる可能性があります。売上げが105円でも、仕入が消費税分上がっていたら、事業者の利益が減ってしまいます。消費税が円滑かつ適正に価格に上乗せできるように「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」という法律が制定され、2013年(平成25年)10月1日から2017年(平成29年)3月31日までは、「税抜+税」の表示が認められました。

税抜価格を表示することで、「本体の価格は値上げしていない」ということが消費者にわかりやすくなるので、事業者は、価格に消費税を上乗せしやすくなります。ただし、税抜価格が税込価格だと誤解されないような措置を講ずることが必要です。値札の例としては、(1)1000円(税抜き)、(2)1000円(税抜き価格)、(3)1000円(税別)、(4)1000円(税抜き価格)、(5)1000円(本体)、(6)1000円(本体価格)(7)1000円+税、(8)1000円+消費税、などの表示方法になります。

2014年4月に8%、2015年10月に10%への消費税率アップが予定されていますが、税抜き価格表示をしていれば、税率が変わっても値札の付け替えや、パンフレットの訂正などの手間が省けるという利点もあります。しかし、税抜価格+税の表示方法だと、消費者が自分で1000円に8%をかけて1080円であると計算しなくてはならず、値段がわかりにくくなる短所があります。実際には、「1080円(税抜1000円)」のような表示がわかりやすいのではないでしょうか。


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