消費税増税で注意すべき旅行代金などの表示のポイントは? -旅行業と消費税(6)

旅行・観光ビジネスで役立つ税知識<第8回>

こんにちは。税理士の菊池美菜です。

消費税アップが近づいてきました。

とはいえ、業界内の競争が激しい中で、単純に消費税分を売価に上乗せするのは難しい企業が多いと思います。また、他社が消費税分をアップしているときに、自社で消費税を上乗せしない価格で販売すれば、売り上げを伸ばすことができます。

パッケージツアーは内税で料金表示されるかと思いますが、宣伝の際には『特別セール』『3%値下げ』など、消費税と関連することが客観的に明らかにならないよう注意が必要です。消費税転嫁対策措置法では、宣伝文句として、消費税を転嫁していない、値引きしている旨の表示が禁止されています。

4月の消費税アップに合わせた販売促進は有効であると考えられますが、その場合の表示方法には注意が必要です。消費税転嫁対策特措法では、下記3つの、誤解を与えるような表示を禁止しています。

  1. 消費者に対し、消費者が消費税を負担していない旨の表示(例: 「消費税は転嫁しません」「消費税は当店が負担しています」)
  2. 消費者が負担すべき消費税を減額しているかのような表示 (例: 「消費税上昇分値引します」「消費税8%還元セール」)
  3. 消費者に利益を与えるような表示 (例: 「消費税相当分ポイントを付与します」「消費税相当分のオプションを付けます」)

ただし「消費税」という文言を使用しない表示は使用しても問題ありません。

  1. 消費税との関連がはっきりしない表示。「春の応援セール」
  2. たまたま消費税の引き上げ幅と一致する表示。「「3%値下げ」
  3. たまたま消費税率と一致する表示。「8%ポイント進呈」

具体例はわかりやすくするために、一般の消費者を対象としたものを挙げましたが、消費税転嫁対策特措法は消費者向けの表示だけでなく、事業者間の取引でも対象になります。事業者間でのパンフレットやカタログの表記にもご注意ください。



菊池美菜(きくち みな)

菊池美菜(きくち みな)

税理士。大手百貨店勤務を経て2001年税理士登録。 得意分野は所得税、法人税でメディア各社(「女性自身」光文社、「女性セブン」小学館、「モーニングバード」テレビ朝日など)で確定申告などの特集を監修。税金のプロフェッショナルとして、誰にでもわかりやすい説明と臨機応変な対応に定評がある。 URL:http://www2.ttcn.ne.jp/mkikuchi/

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