LCC路線誘致に係る経済効果、約7割の住民が肯定的 -国土交通政策研究所

国土交通省の国土交通政策研究所は2014年6月20日、「国土交通政策研究所・シンポジウム-地方航空路線を活用した地域活性化~LCC、RJ を通じて考える-」を開催した。

このなかで、国土交通政策研究所・研究官の渡辺伸之介氏が「LCC参入効果の分析と地方空港の事例調査」を発表。渡辺氏は過去1年間にLCC利用経験のある旅行者に対するインターネット調査で、「LCCがなかった場合どうしていたか?」の問いに「旅行しなかった」の回答率が16.0%だったことから、「新規誘発需要がある程度存在すると考えられる」との見解を示した。

例えば大阪(※関空・伊丹・神戸)/福岡線の旅客数は、2012年は前年比18%増、2013年は42%増、2013年6月にピーチ・アビエーションが路線を開設した大阪(※)/石垣線は256%増となり、LCCだけではなくFSC(フルサービスキャリア)も伸びたという。

また、過去1年間にLCC区間でのFSCや高速バス、鉄道を利用した各旅行者の調査結果と比較したところ、LCC利用者は片道のみの利用が約3割で、FSC利用者(10.7%)、鉄道利用者(16.7%)の片道利用よりもその割合が大きい。このことから渡辺氏は、「LCCが新需要を掘り起こす場合には、逆方向で他のモード利用者を増やす可能性もある」とした。

一方、地方への影響についてLCCが就航する地方自治体6か所にも調査を実施。各自治体は「空港利用者が前年を上回って推移」「路線誘致に係る経済効果について約7割の住民が肯定的」「新規需要や学生の就職活動、家族連れでなどで利用」「空港を介して他地域とつながることで、確かに観光利用が増加」などとコメントしており、渡辺氏は「LCC就航の地域への影響は各地で確実に現れてきている」としている。

なお、渡辺氏はLCC参入効果として「利用者便益(消費者余剰)」を推計。2013年に調査対象6路線(東京/新千歳、福岡、那覇、大阪/新千歳、福岡、那覇)を利用した旅客が享受した便益は、約107億円とした。ここにはLCCの参入による運賃の低下や利用により短縮または増加した所要時間、路線選択肢や便数の増加などが含まれている。

(トラベルボイス編集部)

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