政府、観光立国アクション・プログラム2015を決定、6つの柱で外国人消費額を倍増の4兆円に

政府は2015年6月5日に観光立国推進閣僚会議を開催し、「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」を決定した。

今回のアクション・プログラムでは、2000万人時代の早期実現に向けてCIQ体制(税関・出入国管理・検疫)を強化するなどの各種方策を決定。また、観光の「稼ぐ力」を高め、免税店化を拡大し、地方では6000店強に留まっている現状から、2020年までに2万店規模に拡大し、外国人観光客の消費額を2014年の2兆円から、2000万人の年には4兆円に倍増させていくことを決定した。このほか、魅力ある観光地域づくりの推進と観光による地方創生により、2000万人の年に全国で40万人の新規雇用創出も目指す。

こうした目標に向け、アクション・プログラムでは以下の6つの柱を立て、各分野の施策を講じ、取り組みを進めていく。※詳細は一部抜粋のみ記載

なお、今回の新規案件として、インターネットを通じて宿泊者を募集する民泊サービスについては新たなビジネス形態であるとし、まずは関係省庁で実態の把握等検討することが記されている。


1.インバウンド新時代に向けた戦略的取組

日中韓三か国の域内共通空港パスやクルーズ観光の活性化、域内共通鉄道パスの検討を推進。JNTOと民間企業の連携による、地方の観光情報と乗車券、チケット等の販売予約ワンストップ窓口を創設する。このほか、海外からの若い世代の訪日を促進し、教育旅行では2013年度の約4万人から2020年までに5割増に拡大することを目指す。

2.観光旅行消費の一層の拡大、幅広い産業の観光関連産業としての取り込み、観光産業の強化

免税店の拡大、とりわけ地方における免税商店街など働きかけ、あわせてキャッシュレス決済に必要な端末システムなど、快適に買い物できる環境作りも推進。また、地域限定旅行業の必要要件を見直し、事業参入を促進。「地域の旅のコンシェルジュ」として活性化させ、質の高い着地型旅行商品の造成・販売ルートの多角化を図る。このほか、幅広い産業のインバウンドビジネスへの参入を促進していく。

3.地方創生に資する観光地域づくり、国内観光の振興

地域における多様な通訳ガイドのニーズに応えるため、自治体が独自に育成する「地域ガイド制度」を導入。また、国内移動の活性化に向け、行政や航空会社、高速バス事業者、旅行会社、空港会社などによる「LCC等・高速バス活性化協議会」(仮称)を設置し、具体的な連携を進めるためのプラットフォームを構築。クルーズでは行政と旅客船事業者、観光関係者による「船旅活性化協議会」(仮称)を立ち上げ、外国人旅行者とともに日本人にもクルーズが身近になる環境整備を進める。

4.先手を打っての「攻め」の受入環境整備

CIQ体制の強化に加え、宿泊施設の供給確保として旅館と地方への誘客強化とゲストハウスなどの多様な宿泊施設の活用を図る。ホテルや旅館などの需要がひっ迫する場合の対応として、イベント開催時に一時的に自宅を提供する場合の運用緩和や、小規模農林漁業民宿における特例措置の対象拡大を行なう。また、無料公衆無線LANについて、2020年までに約2万9000か所の整備を促進する。

5.外国人ビジネス客等の積極的な取り込み、質の高い観光交流

中規模のコンベンションの受け皿充実を目的に、新たに「グローバルMICE強化都市」を4都市程度選定。インセンティブ旅行での重点市場として中国、韓国、米国、タイ、台湾、インドネシア、マレーシアを選定し、2015年70万人を目指し、集中的な誘致を行なう。統合型リゾート(IR)については制度上の措置の検討も必要として、IR推進法案の状況や国民的な議論を踏まえ、関係省庁について検討を進めるにとどまった。

6.「リオデジャネイロ大会後」、「2020年オリンピック・パラリンピック」及び「その後」を見据えた観光振興の加速

外国人の五輪観戦に留まらず、都内や近郊地域の観光促進の観点で「観戦チケット・IC乗車券一体化フリーパス」の検討を促進。また、開催を契機としたバリアフリー化を加速し、主要ターミナルにおける複数ルートのバリアフリー化や地方の主要な観光地のバリアフリー化に重点的に取り組む。

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