サービス連合の運動方針2015、交渉力養う人材育成プログラムや政策提言を発表

サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は、2015年7月16日に開催した第15回定期大会で承認した2015年~16年度の運動方針を発表した。サービス連合では2013年に掲げた4年間の中期的目標の実現に向けて取り組みを進めているところ。

会長の後藤常康氏は「サービス連合という産業別労働組合の役割としては、(1)労働条件の維持向上、(2)政策提言の強化・実現、という2つの大きな柱がある」と述べた上で、「それを実現するためにも人が足りない。組織強化をしていく」と、残り2年で特に強めていく方向性を示した。

組織強化については、「組織拡大」と「人材育成」の2点で取り組む。特に人材育成では「業界全体で人手不足と言われているが、労働組合も同じ」と述べ、その重要性を強調。この2年間で、執行部に必要な知識や交渉力・コミュニケーション力などのスキルを習得できる体系的なプログラムを策定し、2015年度から実行していく。第1弾として11月中旬に、30名くらいの規模で2日間の研修を行なう予定だ。

また、組織拡大では、中期目標で掲げた組織人員の到達目標50000人に対し、現在は約4万3000人。2年間で1429人増加したが、残り2年間では7000人という「挑戦的な数字」となっている。このため、今後は業界内の労働組合への加盟の呼び掛けを続けるとともに、未組織の企業内の組織化を集中的に取り組んでいく。特に、それぞれ1万人以上という独立系派遣添乗員や企業内の有期契約社員を重点対象とし、働きかけを強化していく。

一方、政策提言の強化・実現ではこのほど、「観光立国実現に向けた提言」を発表。2年前にサービス連合が設定した政策提言や政府施策の内容を精査し、サービス連合内の産業政策委員会からの提言を含めたもの。後藤氏は「サービス連合の提言は、“現場から必要”というものを取り上げた。項目的には他団体の政策提言や政策と似ていても、発想が違う」と意義を強調。国の施策と現場の実態とのギャップを埋めるために何をすべきかという視点・発想で取りまとめたという。

今回の提言では、新たに「地域政策」を含め6項目で設定。サービス連合内の6つの地域連合会のうち、今回は取り組みが先進している東北と中部の2地域について取り上げた。サービス連合では2年ごとに政策提言を刷新していく方針で、今後は全6地域も盛り込む。

政策提言については実現に向け、2015年度からは外部への周知を強化する。提言をまとめた44ページの冊子を配布するほか、2016年2月にはサービス連合として初の「観光政策フォーラム」を開催することを決定。内部のみならず外部にも参加を促し、提言内容の発信と理解促進に取り組んでいく。


【サービス連合「2015-2016年度 観光立国実現に向けた提言」構成内容】

「観光政策の課題と提言」

  1. 観光庁を中心とした行政の体制構築
  2. 観光需要の拡大
    • 国内旅行
    • インバウンド
    • アウトバウンド
    • 休日・休暇改革
  3. 環境整備
    • 観光地・観光地域づくり
    • 交通関連
    • 宿泊施設関連
    • ユニバーサルデザインへの対応
    • MICE
  4. 健全な産業発展
    • 産業基盤整備
    • 観光産業と社会
    • 環境保護・防災・危機管理
  5. 人財育成
    • 産業内の人財育成
    • 地域における人財育成
    • 学校教育・研究振興
  6. 地域政策
    • 東北地方
    • 中部地方

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