写真でみる豪華客船クイーン・エリザベス(QE)、3年連続で日本寄港、横浜で“女王”の船内を公開

キュナードの客船「クイーン・エリザベス(QE)」(9万900トン、乗客定員2081名)が2016年3月20日、ワールドクルーズ途上で横浜に寄港し、メディアと旅行会社対象の船内見学会を開催した。

キュナードは1840年に創業した英国客船会社で、大西洋航路の黄金時代の歴史と伝統を受け継いだ英国式のサービスを提供。現在も定期の大西洋横断ライナーを唯一、運航している。見学会でQE船長のアリスター・クラーク氏が、「英国の文化と多国籍のインターナショナルな雰囲気が魅力」とアピールした船内を、写真でレポートする(写真は下部を参照)。

日本への寄港は3年連続のことで、今回は横浜や長崎(3月17日)、鹿児島(3月18日)のほか、初寄港の大阪(3月22日)、広島(3月24日)、沖縄(3月26日)を加えた計6港に寄港。今回のワールドクルーズで日本は、オーストラリアの7港に次いで2番目に多いデスティネーションとなった。

乗客数は非公表だが、カーニバル・ジャパン営業部長の児島得正氏によると「ほぼ満室」。日本市場の集客は過去最多と順調で、横浜乗船よりも大阪乗船が多い。また、香港からの乗船も日本人に人気だという。


QE船長のアリスター・クラーク氏

QEは日本での販売が長く、一般の認知度も高い。しかし、外国客船の日本発着クルーズの増加で市場の裾野が広がっているなか、「日本に進出する外航客船は米国またはイタリアの船社で、英国船社はキュナードのみ。雰囲気が違う」ことから、改めて英国ならではの大人のクルーズを提供することや、QEの本来のブランドを強く打ち出した。すると、特にワールドクルーズでQEに初めて乗船する客層が増えたという。

なお、今回の横浜寄港は貨物港の大黒ふ頭に接岸。大さん橋に接岸するには、海面からの高さが55メートルのベイブリッジを通過する必要があるが、高さ56.6メートルのQEは干潮時でないとくぐることができない。2年前はその時間にあわせて夜中の23時に通過したが、昨年は天候の影響で到着が遅れたため、急きょ神戸寄港に変更となった。それを踏まえて今年は大黒ふ頭にしたという。

船長のクラーク氏は横浜を「好きな港」としながらも、「前回は夜間にも関わらず、2000人もの市民がブルーのライトを持って出迎えてくれて、感動的だった。そういう観点では残念」とも語った。大黒ふ頭は警備のため、一般の立ち入り見学は不可となっている。



【クイーン・エリザベス船内写真】

▼現クイーン・エリザベスは2010年就航の3代目。船内は1938年建造の初代QEをイメージし、アールデコ調を現代風にアレンジ。天然木材を多用した華美でない豪華さが印象的だ。船の中央、3層吹き抜けのグランド・ロビーの寄木細工は初代QEがモチーフ。

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▼クイーン・エリザベスは客室のカテゴリーごとにサービスが異なり、メイン・ダイニングも用意する。写真は最もスタンダードなブリタニア・クラスの「ブリタニア・レストラン」。2層吹き抜けで、華やかな雰囲気。

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▼上級カテゴリー「クイーンズ・グリル」と「プリンセス・グリル」のレストランのあるデッキ11にアクセスできるのは、両カテゴリーの「グリルクラス」の乗客のみ。クイーンズ・グリルの各客室には専属のバトラーが付く。

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▼「ザ・グリルズ・ラウンジ」は、グリルクラスの乗客が寛ぎながらレストランの開始時間を待つことができるように設けた専用エリア。グリルクラスのレストランに隣接。

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▼3層吹き抜けの「ロイヤル・コート・シアター」は800名収容。ロイヤルボックスがあるのはキュナードならでは。(プロダクションショーなどは要予約、有料でシャンペンとチョコレートが付く。その他は自由で先着順)

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▼ボールルーム「クイーンズ・ルーム」。日中はアフタヌーンティー、夜は社交ダンスの会場に。これだけ広さのあるダンスホールもキュナードならでは。生バンドが演奏する。

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▼レストランのほかカフェ、バー、ラウンジなど、船内には飲食スペースが多数。英国パブ「ゴールデン・ライオン・パブ」は、キュナードでおなじみの施設で、パブランチから英国ビールを提供。

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▼歴代のキュナードの船の記念品や著名人の写真を展示する「キュナード・プレイス」。創業176年の歴史を感じるキュナードならではの特別な場所。そのほか船内にはQE2から引き継いだ彫刻等も展示されている。

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▼船は伝統を重んじた造りだが、フォトライブラリーは2014年の改装時にデジタル化。客室番号を入力すれば簡単に写真を探せる。英・独・中・日の4言語に対応。

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▼デッキ9中央部のパビリオン・プール。プールはそのほか、後方部の「リド・プール」のほか、有料の「ハイドロ・プール」もある。

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取材:山田紀子(旅行ジャーナリスト)

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