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JATA田川新会長、「観光立国から“観光大国”へ」、日本人の海外旅行2000万人に自信

2014年6月、日本旅行業協会(JATA)定時総会で新会長に選任された田川博己氏(現JTB取締役会長)が、このほど就任会見を実施し新会長としての今後の取組みなどについて発表した。

田川会長は、新会長として今後の取組みを「中小、地方の旅行会社の声を聞きながら、激動するマーケットに迅速に対応し旅行業界全体の底上げと地位向上に努めたい」と意気込みを述べた。観光立国が国家戦略として注目される中、ツーリズム産業の役割と期待が高い。裾野の広い旅行業では、異業種との連携も数々誕生、新しい価値やサービスが発生する状況で、田川氏は「旅行業の果たす役割は大きくなっている」と語る。その旅行業を代表するJATAの役割の重要性を増しており、インバウンド・海外・国内の3位一体の体制で組織を運営していくことを強調した。

また、田川氏は「観光立国から観光大国へ」に変化することの重要性にも言及。このためには、日本人の海外旅行と外国人観光客の双方を増加させるツーウェイ・ツーリズムが重要なポイントで、地域経済の活性化のためにもJATAとして本部、地区、支部とさらなる連携をすすめる方針だ。さらに、日本の出国率向上はツーウェイ・ツーリズムのポイントと指摘し「先進国の出国率は2割以上になるべき」との考えを示した。そのうえで、日本人の海外旅行2000万人の目標について「達成に自信がある」と自信を示した。

田川新会長が示した取組みや方針、考えは以下のとおり。


【取り組むべき課題】

【訪日外国人2000万人の課題と解決】

訪日外国人受入れでソフトとハードの両面で「やさしい」が重要。美術館の案内を多言語化する、スマホアプリを国が率先してつくっていく、などの取組みが必要で国に対しては「道具はそろえてもらいたい」と語る。日本の良さを海外に伝えるのが旅行業の役割で、道具がそろえば、それを実践するのは旅行業の役割だ。


【中小旅行会社の声を聞く】

経営委員会で取り上げている人材育成、労務など経営課題がある。また、中小と大企業では規制緩和や法整備で違う結果になることがある。このバランスをみて、どう生き残るのかについてのセッションをしていくべき。過去にはない議論で、今後はやっていく。


【航空座席の確保】

LCCが拡大していくなかで、欧米並みの航空利用全体30%を見据えて、流通ルートをつくる必要性がある。大手。中小ともおに、どこが「仕入れるのか」が問題になり、手数料をもらうシステムでもなくなってくるはず。「確保する」流通ルートを整理する必要性があり、欧米の過程を見習うために勉強会を実施していく。特に、LCCが15%を超えてきたら「流通問題に入って来る」との認識だ。


【MICEへの取組み】

経団連でやっと「MICE」という言葉がでてきたところ。範囲の広いMICEを「大会行事」ですませてはいけない。日本のグローバル企業が日本国内で国際会議を行うような提言や、事例を発信するのがJATAの役割との考え。また、日本にMICEの言葉や意味を伝える必要も。


【総合型リゾート(IR :Integrated Resort)への考え】

総合リゾートのうえで、カジノは必要だが、観光客がカジノの有無に影響されるわけでない。「ひとつの道具」であり、シンガポールのような総合施設、ラスベガスのような規模感が必要。エリアとセットで考えるべきで、導入するならば田川氏はリゾートに作るべきとの考え。

【燃油サーチャージ】

これまでのJATAの働きかけで観光庁が窓口となり航空局と話し合うテーブルが設定できている。料金に1本化する要望は変わらず、一歩一歩進んでいる状況。

(トラベルボイス編集部:山岡薫)