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ツアーグランプリ2015、国土交通大臣賞は昭和観光社の「現地ヘルパー手配ツアー」

日本旅行業協会(JATA)は、ツーリズムEXPO2015で「ツアーグランプリ2015」の表彰式を行った。ツアーグランプリとは、旅行会社のつくる旅行商品の企画力とマーケティング力の向上、「観光立国」の施策に寄与することを目的に実施しているもので、今年で22回目。2015年の応募総数は113件、その中から国土交通大臣賞など8部門11ツアーが表彰された(各賞の受賞企業や商品は下段に紹介)。

今年、国土交通大臣賞を受賞したのは広島県の昭和観光社の「心の翼 温泉入浴・現地ヘルパー手配ツアー」。身体障害者や要介護者などが利用できるバリアフリーツアーを企画し、今まで旅行に行くことができなかった人をサポートするツアーだ。旅行会社としては、要介護認定者に対して介助することはできないものの、旅先での介助者(ヘルパー)を手配する。


IMG_0611受賞後の会見で、同社代表取締役の平森良典氏は、「誰もが温泉に入りたいという願いがある」、「全旅行会社ができる社会になることを祈りたい」と語り、こうしたツアーの社会的な必要性を訴えた。受賞したツアーの参加者は1年で288名。そのうち、大浴場や貸切浴場での介助を要望したのは47名だったという。

平森氏によると、旅先でのヘルパー利用は介護保険が適用されず、ツアー自体も様々な配慮が必要なことから、通常の価格の倍以上となる。旅行者の負担は大きいものの、それでも「『生きていたよかった、がんばろう』という力をもってもらえる商品だった」と振り返る。

旅行会社としては、ヘルパー利用料を徴収することはできないため、行うのは手配のみ。役割を明確にすることも重要なことで、滑りやすい浴場での介助は、プロを包括支援センターから派遣してもらう。同氏は、ユニバーサルツーリズムを推進するバリアフリー旅行ネットワークの代表理事も務めており、長年の活動がこうした手配力を高めているといえるだろう。


IMG_0630観光庁長官賞の海外旅行部門はHISの「カンボジアの孤児院でボランティア&アンコールワット6日間」。旅行者がカンボジア孤児院で日本語や音楽など5つのテーマで交流するボランティアと現地観光を組み合わせたものだ。

同社関東法人団体専門店事業部エコ・スタディツアーデスクの内田裕香氏は、「現地交流、客様同士の交流、旅の途中・後もつながることを目指したツアー」で、年間100名から始まったツアーが現在では年間1000名ほどに成長していることを説明した。

一人旅が多いのも特徴だといい、最近では1年で3倍ほどに増えたという。また、“つながる”部分では、SNSのグループ機能を活用して旅行中・旅行後の交流を図る。様々なアイディアを次の企画に役立てたり、同社へのリピーター化にもつながっている。


IMG_0618同、国内・訪日旅行部門では、びゅうトラベルサービスの「Eastern Japan Tokyo Rail Days」が受賞。訪日外国人の個人旅行向け鉄道利用パッケージだ。

同社海外旅行事業本部、訪日旅行部マネージャーの戸田かなえ氏は、「東京に行きがちな需要を、丁寧な優しい商品としてやってきたことが実を結びうれしい」と語る。台湾、香港、タイなど6市場を対象に、1年で3300名ほどの集客を送客。外国人向けに、日本の切符の見方や改札の通り方など、わかりやすくマニュアル化して資料を渡すなどの努力もあった。

その他、受賞商品は以下のとおり。各社ともに、旅行会社ならではの手配力や現地サポートを生かしたツアーとなった。

【国土交通大臣賞】

【観光庁長官賞】

<国内・訪日部門>

<海外旅行部門>

【グランプリ】

<海外旅行部門・パッケージ>

<海外旅行部門・シリーズ>

<海外旅行部門・SIT>

<国内・訪日旅行部門>

【審査員特別賞】

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ツーリズムEXPO2015振り返り記事はこちら>>


トラベルボイス編集部:山岡薫