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鹿児島県長島町が「地域おこし協力隊」をネットで募集、”最年少”副町長が観光創出へ

鹿児島県長島町は総務省の「地域おこし協力隊制度」を活用し、地域の観光づくりに取り組む。長島町では、総務省から出向した井上貴至氏が最年少29歳で副町長に就任し、地方創生担当としてさまざまな施策を打ち出しているところ。産業の中心は漁業と農業で、観光業は「統計も取っていないのではないか」(井上副町長)というほぼゼロからの出発のなか、消滅可能都市からの脱却を図るため交流人材の増加を目指し、観光創出に取り組む方針だ。

長島町は県北西部、熊本県の天草下島と九州本土に挟まれた長島と獅子島からなり、隣の鹿児島県阿久根市と橋で結ばれている。海と山の立地を生かし、「鰤王」のブランドで知られる養殖ぶりや栽培の発祥地である温州みかん、人気銘柄の焼酎「島美人」などの生産地として、農協・漁業ともそれぞれ年間100億円を売り上げるが、観光は大型の宿泊施設はなく、九州からの日帰り観光や釣り目的の宿泊客に留まっている。

しかし井上氏は観光の可能性として、日本屈指の産地である化石や、国道がなく綺麗に見える星空などを活かしたSITや自然学校などの可能性を提案。長島町の素材を活用した魅力ある観光地づくりと旅行業界との連携によって、長島町に人を呼び込める人材を観光」分野で募集したい考え。

「町の人に町内の素晴らしいところを聞くと、美しい海や山の風景をあげる。しかし、それでは周囲の観光地に埋もれてしまう」とし、「地域には他の地域や業界と連携できる人材が少ない」との認識も提示。こうした課題を、外からの視点を踏まえて解決していく。対象客層や旅行形態などは、採用後に決めていくことになるが、長島町には大型施設がないことから、「一人当たりの収益性を高める」形態が望ましいと考えている。

すでに長島町では「地域おこし協力隊」として、楽天やLUXAでの物販実績のある土井隆氏が移住しており、ITによる地域おこしを開始。観光分野でも町内の宿泊施設がじゃらんや楽天などと契約していないことから、ネットに載るためのインフラ整備から開始しているという。

なお、長島町は今回の「地域おこし協力隊」で観光分野を含む24種の人材を募集。これにあたり、ビズリーチの無料求人検索エンジン「スタンバイ」を活用しており、記者会見は共同開催となった。