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HIS、韓国人旅行者の取込みで新会社、韓国大手OTAと訪日旅行などオンライン販売へ

HISは韓国・ソウル市に拠点を置く大手EC企業「INTERPARK」と訪日旅行の促進に向けた合弁会社を設立する。新会社では、韓国人旅行者の訪日旅行のほか、拡大する韓国の海外旅行市場の取り組みを行う。新会社設立は2016年1月、2015年12月21日にはその基本合意書を締結した。

*写真は左から、新会社代表取締役副社長に就任予定の和氣智一氏、HIS代表取締役社長の平林朗氏、INTERPARK TOUR代表理事社長のパク・ジニョン氏、新会社代社長に就任予定のヤン・スンホ氏

新会社の名称は「INTERPARK JAPAN」。資本金3000万円、出資はHIS側が51%、INTERPARK側が49%の比率で行い、第3種旅行業を取得する予定だ。発表の記者会見では、HIS代表取締役の平林朗氏が日本の海外旅行市場の成長が鈍化する中、成長する韓国市場を取り込むことが重要であることを説明。個人旅行者化が進む中で、その取り込みを強化し、HISの個人旅行パッケージ「チャオ」と同等レベルの150万人の取扱いを目指す考えを示した。

合弁会社の代表取締役に就任予定のINTERPARK社常任理事ヤン・スンホ氏は、韓国の海外出国者が2015年は1770万人の見込みで堅調に市場拡大をしていることや個人旅行化が進んでいることを説明。HISとの提携で「安定した旅行インフラを利用して、韓国人に旅行を提供したい」考えだという。

訪日旅行の分野では、新会社が日本のホテルや観光素材の直接仕入れを行う。その後、INTERPARK社のサイトを通じて韓国発の海外ツアーとして消費者への販売、また韓国の旅行会社に向けたBtoB販売を行う。スンホ氏は、客室確保や価格交渉力の面でシナジー効果や欧米OTAとの競争で優位性を高めていく考え。また、チャーター便を活用した地方への送客や第3国間の韓国人旅行者の取扱いも視野にはいっているという。

また、韓国の旅行会社では、海外にツアーデスクなどを持つ企業が少ないといい、新会社ではHISが持つ海外拠点でツアーデスクなどを活用。韓国人旅行者へのサービスを拡充する。まずは、海外ではバンコク、日本では原宿など旅行者が集まる場所を選定し、需要をみながら拡大をしていく。


合弁相手のINTERPARK社とは?

IMG_1541INTERPARK社は、1996年に韓国発のネットショッピングモールとして設立されたEC企業。会員数2000万人、1日平均訪問者数230万人、年間取引額は2兆9000億ウォン、月間平均取引数は600万件を誇る。

基盤事業は本と旅行で、特に成長事業となっているのが、チケットとツアーだという。「INTERPARK TOUR」では、韓国市場の取扱いで航空券が首位、国内航空券ではシェア50%(海外航空券は11%)。海外ホテルでは20万件のホテルを掲載しており、国内宿泊予約では1位。実績では年平均成長率(CAGR)で20%超を持続し、2015年度の取扱い額は1兆5000億ウォンにせまる。送客数ではCAGR33%となっており、2015年には20万人超となる見込み。

スンホ氏は、その成長を支えるのがモバイルで、早い段階にモバイル対応をしてきたことを強調。韓国人旅行者の旅行予約が「すでにモバイルに移行している」として、同社が提供する4つのアプリが550万ダウンロードを誇り、国内予約の7割がモバイルからとなっていることを強みとして説明した。

トラベルボイス編集部 山岡薫