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機内食にも季節感、クリスマスや年末年始の特別メニューをまとめてみた【コラム】

百花繚乱!世界の機内食めぐり

機内食コラムを担当する旅行・グルメライターの古屋江美子です。

鮮やかなイルミネーションで彩られ、街がキラキラ輝く季節。ホリデーシーズンがやってきました。この時期は、機内食もホリデー仕様に。エアラインの中には、クリスマスやお正月に特別な機内食を用意しているところも少なくありません。今回はホリデーシーズンの気になる特別メニューをまとめました。

ターキーにガチョウ、定番クリスマス料理を機内で

JALのクリスマス機内食(国内線ファーストクラス昼食:ローストビーフ)

欧米のクリスマス料理の定番といえば七面鳥(ローストターキー)ですが、これをクリスマスに出すエアラインもあります。シンガポール航空では、一部の東京発便の全クラスで、ローストターキーとクリスマスケーキを提供。期間はファースト・ビジネスクラスが12月16日から27まで、エコノミークラスが12月24・25日の2日間。機内にはクリスマスリースも飾り、クリスマスムードを演出します。

クリスマスが楽しみなのは、大人よりむしろ子どもたちかもしれません。エミレーツ航空では12月20日から26日までの期間、オーストラリア・アメリカ・ヨーロッパ路線のキッズメニューをクリスマス仕様に変更。メイン料理は全クラスでターキー。デザートはファースト・ビジネスクラスではクリスマスログケーキ、エコノミークラスではチョコレートとクリームチーズのケーキが用意されます。

また、ドバイ国際空港にある同社のラウンジには各国のクリスマス菓子も並びます。具体的にはドライフルーツやナッツが入ったドイツの「シュトレン」やドライフルーツなどで作る"ミンスミート"をパイ生地で包んだ「ミンスパイ」などです。

シンガポールもドバイもクリスマスの本場ではありません。それにもかかわらず、ここまで本格的なメニューをそろえるのは、グローバルカスタマーが多い両エアラインらしい対応といえるでしょう。

一方で、自国の食文化にこだわるエアラインもあります。

ルフトハンザ ドイツ航空のドイツ発便のファースト・ビジネスクラスでは、11~12月のメニューとしてドイツの伝統的なクリスマス料理であるガチョウのローストが登場しています。ドイツのクリスマスはターキーよりガチョウが定番なのです。また、エールフランス航空のファーストクラスでは、クリスマスに木の切り株の形をしたフランスの伝統のクリスマスケーキ「ブッシュ・ド・ノエル」を切り分けてサービスするそうです。

日本でもクリスマスはいまや国民的行事。JALでは、12月24・25日の2日間、国内線のファーストクラスにおいてクリスマス特別メニューとして、ローストビーフ(昼食メニュー)などが提供されます。イギリスの伝統料理であるローストビーフは、日本ではハレの日の料理の代表格であり、クリスマスにもふさわしい一品といえます。

嬉しいサプライズ! 航空会社からのクリスマスプレゼント

キャセイパシフィック航空のクリスマスクッキー(エコノミークラス用)

機内食ではありませんが、ちょっとしたプレゼントでクリスマス気分を盛り上げてくれるエアラインもあります。たとえば、KLMオランダ航空では、クリスマスのアムステルダム発長距離路線便の機内で、乗客全員にチョコレートをプレゼントしてくれるそう。キャセイパシフィック航空では、クリスマス期間中、一部路線でクリスマススペシャルクッキーを提供する予定です。

また、ANAでは国内線のプレミアムクラスで提供しているスパークリングワインを、国際線ビジネスクラスで11月に提供していたシャンパンにかえて提供。期間は12月10日から31日までと長めです(※在庫状況で早く終了する場合があります)。

日本のお正月はおせちでおもてなし

日本ではクリスマスよりお正月が伝統的な行事です。JALとANAでは、2016年の元旦から3日までの三が日期間中、国内線の上位クラスでお正月の特別メニューが提供されます。

JALの国内線ファーストクラスでは、朝食と昼食時間帯に、9つの小鉢に栗きんとんや田作りなどおせちの定番を詰め込んだ「祝小鉢膳」とお雑煮を提供。彩り鮮やかな料理がお正月気分を盛り上げます。また、羽田発着の沖縄線では、午後の軽食タイムにもちらし寿司や紅白かまぼこなどをあしらった「祝小鉢」とお雑煮などが用意されます。

JALのお正月メニュー(朝食・昼食)

ANAでは、国内線のプレミアムクラスで「おせちサービス」を行ないます。羽田・千歳・伊丹・福岡発便で提供している機内食「Premium GOZEN」(プレミアム御膳)の朝食・昼食時間帯のメニューに、おせち料理を用意。もともと、「Premium GOZEN」は、日本文化である“お重”を模したお弁当箱で提供されているのですが、だて巻きやなますなど1年の幕開けにふさわしい縁起のよい品が並びます。

ANAの「おせちサービス」

ちなみに中華圏などでは、新暦より旧暦を派手にお祝いするのが一般的。香港のフラッグシップキャリアであるキャセイパシフィック航空は旧正月の1日目から3日目までのあいだ(2016年の2月8日から10日)に全クラスで、旧正月にちなんだお土産などを配る予定があるそうです。

欧米スタイルの年明けサービスをしているのが、KLMオランダ航空。12月31日から元旦にまたがる長距離線のフライトでは乗客全員に「HAPPY NEW YEAR」のメッセージと共に、スパークリングワインをサービスしてくれるそうです。

欧米のクリスマスや日本のお正月、当日の基本は自宅で家族と過ごしたい方が多いはず。そうした時期に飛行機に乗る理由は人それぞれですが、仕事が理由ならこうしたサービスにほっと気持ちが安らぎますね。一方、レジャー目的で搭乗している人なら、楽しい旅の気分がさらに盛り上がることでしょう。各エアラインのホスピタリティ、日本流にいうならおもてなしの心が感じられるすてきな取り組みだと思います。