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観光産業がもたらす日本経済への影響を算出、10年後に16兆円超、総雇用者数500万人超に ―WTTC予測

旅行・観光関連企業団体の世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)はこのほど、日本における旅行・観光産業の経済的影響を分析した報告書「Travel & Tourism ECONOMIC IMPACT 2016 JAPAN」を発表した。それによると、GDP(国内総生産)に対する旅行・観光産業の直接寄与額(直接貢献している額)は、2015年が12兆8958億円で、2016年には前年比3.7%増の13兆3677億円となる見通し。その後年率2.1%の伸びを示し、2026年には16兆3910億円に達する予測となった。GDPに占める同直接寄与額の割合は、2015年の2.6%に対し、2026年は3.0%となる。

日本の2016年の伸び率(3.7%増)は世界平均の3.3%増を上回る予測となった一方、アジア太平洋地域の平均伸び率(5.5%増)には約2ポイント及ばない結果に。国別の上位には中国(6.1%増)、タイ(4.3%増)、オーストラリア(4.1%増)などがランクされている。

GDP 総寄与額: 2016年は3.5%増の40兆8105億円、2026年には48.5兆円規模に

間接寄与額(将来に向けた投資や政府によるプロモーション関連支出、旅行産業から派生する事業費など)を含むGDP総寄与額は、2015年が39兆4313億円2016年は3.5%増の40兆8105億円。その後年率1.7%で成長し、2026年までには48兆5033億円に至る予測となった。

雇用面: 2026年には旅行・観光業界関連の総雇用者数が500万人超えに

宿泊施設や旅行会社、航空会社、交通機関、旅行会社による飲食手配やレジャーアクティビティ事業など、旅行・観光関連産業での直接雇用は、2016年が前年比1.3%増の123万9000人。その後年率0.8%の伸びで、2026年には134万3000人に成長。総雇用者数に占める旅行・観光産業の直接雇用者数は、2015年の1.9%に対し、2026年は2.2%となる。

一方、間接雇用を含む2016年の総雇用者数は1.3%増の478万2500人で、2026年には507万9000人を達成。国内の全雇用者数に占める旅行・観光関連総雇用者数の割合は、2015年の7.4%に対し、2026年は8.4%。

旅行直接消費額: 2016年の訪日外国人消費額は11.7%増の3兆4744億円、2026年には5兆円規模に

また、同報告書では2016年の訪日外国人数を2072万6000人、2026年には2866万9000人に至ると予測。旅行・観光関連直接消費額は2015年は3兆1105億円、2016年は前年比11.7%増の3兆4744億円。その後年率4.0%で成長し、2026年には5兆1571億円に達するとの試算を示した。

なお、国内における旅行・観光関連設備投資額は、2015年の3兆9702億円に対し、2016年は3.5%増で推移。2026年には4兆8623億円規模に至ると予測している。

同報告書は、WTTCが同じ指標の統計を国別・地域別のほか、総合分析としてとりまとめているものの一環。詳細は以下から参照できる。