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世界の出張支出ランキング、首位は中国、2位に米国、日本は4位で微減 ―GBTAレポート

GBTA(グローバルビジネス旅行協会)はこのほど、2017年の業務渡航マーケット動向および2022年までの展望をまとめたレポート「ANNUAL GLOBAL REPORT & FORECAST PROSPECTS FOR GLOBAL BUSINESS TRAVEL 2018-2022」を発表した。

それによると、2017年の世界全体での業務渡航に伴う支出(宿泊、航空券、地上交通、食事、エンターテイメント)は、前年比5.8%増の1兆3300億ドル(約146兆3000億円)。2012年以降は先行き不透明な世界情勢が影響し、業務渡航マーケットの伸び率は3~5%の範囲内にとどまっていたが、2017年は業務渡航のランキング上位20か国中15か国で、過去5年間の平均伸び率を上回るプラス成長があるなど、力強い動きとなった。

GBTA:発表資料より

2017年の業務渡航支出高ランキングは、1位が中国で3465億200万ドル(前年比9.0%増)。2位が米国(3.1%増の2922億9000万ドル)、3位ドイツ(5.6%増の720億7000万ドル)。日本は4位で637億9800万ドルだが前年比1.6%減。上位15か国中マイナス成長だったのは日本と5位の英国(0.7%減の500万3900万ドル)のみとなった。

続く2018年もビジネス需要は活発に推移しており、今年は同7.1%増とさらに高い伸び率を予測。各国市場の推移については、中国の業務渡航マーケットの伸び率が2018年は6.6%、2019年は6.4%、2020年は6.1%と少しずつ鈍化する一方、インドおよびインドネシア市場が急成長すると予測。今後5年間の年平均成長率は、インドが11.3%、インドネシアが8.7%と推計している。

一方、今後のリスク要因としては、米国における保護主義と、関税引き上げや報復措置の応酬、英国のEU離脱、NAFTA交渉の行方など。こうした動きが、活発な貿易やグローバルビジネス投資に悪影響を及ぼすことを懸念している。また、世界的な景気上昇に伴う労働力の不足、利率や物価の上昇が、成長の鈍化につながる可能性も指摘している。

さらにもう一つの不安材料が原油コストの上昇。現在のブレント原油価格はバレル当たり75ドルで、2017年12月時点より16%増、1年前と比べると50%以上も値上がりしている。2018年6月、石油輸出国機構(OPEC)および非加盟の石油産出国の会合で、一日当たり100万バレルの石油増産が合意されたが、これが奏功し、2018年後半は原油価格が落ち着くことが望ましいと訴えている。

調査対象は世界73か国の44業種。GBTAでは2009年から同調査を継続しており、今年で9回目。調査・分析はロックポート・アナリティクス社が担当した。