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鎌倉市、GWピーク期のオーバーツーリズム対策を強化へ、江ノ電沿線住民が行列に並ばず駅入場できる証明書など

観光混雑(オーバーツーリズム)が指摘される鎌倉市では2019年5月3日~5日まで、住民の移動を円滑化する社会実験を実施する。江ノ電鎌倉駅西口で、市が発行した「江ノ電沿線住民等証明書」(証明書)を提示した対象地域の沿線住民等(在勤・在学者含む)に対し、乗車待ち列が駅構外に及んだ場合に、行列に並ばずに改札内に入場できるようにするもの。駅構内では一般旅客と同様、乗車列の最後尾に並ぶ。

社会実験の名称は、「江ノ電沿線住民等の移動円滑化にかかる社会実験」。今回で3年目となる実証実験だが、過去2年の対象日は天候の影響で行列が発生した日が少なく、証明書による優先入場を実施したのは2018年5月4日のみ。

その結果によると、当日は午前11時ごろから乗車町の列が駅構外にも発生し、その長さは最大100メートルにもなった。これに対し、85名の沿線住民が事前発行の証明書を使用して入場。最大約20分程度の待ち時間の短縮を実現した。証明書の申請時に配布したアンケート(回収率12.8%)では、約8割が「とても有意義」「有意義」と回答し、約9割が今後の実施を希望。社会実験当日に乗車町をした観光客のうち118名に実施したアンケートでも、約8割が今回の取り組みを「理解できる」「おおむね理解できる」と回答した。

こうした結果や今年の需要を踏まえ、今回は実施日を増加。申請対象とする住居・在勤・在学の対象地域を2駅分拡張し、和田塚駅~腰越駅までとした。鎌倉市によると、証明書の発行期間は4月22日~4月27日までだが、発行開始から2日間で既に約1000人が申込み、昨年(総数:1471枚)を上回るペースだという。鎌倉市では今後の本格実施に向け、江ノ島電鉄と社会実験を踏まえた協議を行なっていく方針だ。

このほか、鎌倉市では公共交通機関も混雑回避対策を実施。江ノ島電鉄では5月3日~5日まで、鎌倉駅での改札規制を実施した場合に、長谷観音までの片道区間について路線バスへの振替輸送を実施。4月27日~5月6日(各日9時~15時)までは、江ノ電バスと京浜急行バスが運行する鎌倉駅西口線(桔梗山/鎌倉駅西口)で駅周辺の混雑を踏まえ、バス停留所を鎌倉市役所前の発着に変更する。

なお、鎌倉市では今年のゴールデンウィークで発生する交通渋滞を見込み、昨年の渋滞データを発表した。公共交通機関の利用やピーク時の移動回避など、渋滞発生の防止を呼び掛けている。