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新型ウイルスで落ち込む航空需要の回復はいつか? 需要減退は「短期的」の見通し、SARSとエボラ出血熱の事例から

世界の航空データ分析を行うOAGは、新型コロナウイルスによって世界で旅客便の運休や減便が相次いでいることを受けて、SARSが発生した2003年とエボラ出血熱が発生した2013年の事例から、今後の座席供給量の見通しを示した。

現在、新型コロナウイルスを封じ込めるために、中国国内線、そして中国発着の国際線では過去に前例のない減便や運休が行われており、その影響が実際にどれほど広がるかは誰にも分からないとしながらも、過去の事例から需要の減退は短期的との見通しを示している。

SARSが発生した2003年、世界の航空座席供給量は落ち込んだが、2004年の成長率は過去5年の平均成長率2.5%を上回る7.4%に、2005年も4.8%に伸びた。その後も2007年までSARS発生以前の予測を上回った。

アジア太平洋地域の回復力は他の地域よりも強く、2004年の成長率は10.3%。その後、リーマンショックで世界経済が停滞した2008年から2009年まで急速な成長を遂げた。

西アフリカで発生したエボラ出血熱の場合も似たような状況だった。拡大が始まった2013年、減便や運休でおよそ100万席が失われ、成長率は3%減と落ち込んだ。しかし、翌年には成長率は回復。その後、2015年に2回目の発生確認で再び落ち込んだものの、その翌年にはすぐに成長率は上昇した。

OAGでは、新型コロナウイルスが航空旅行に与えるダメージの予測は難しいが、こうした過去の事例から、ウィルス拡大のピークの約6ヶ月後までには需要は回復すると見ている。