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新型コロナ拡大で航空業界の損失は12兆円にも、航空会社の株価下落はSARS時を上回る、国際航空運送協会が最新分析

国際航空運送協会(IATA)は、新型コロナウイルス(COVID-19)が航空業界に及ぼす財政的な影響について、2つのシナリオによる最新の分析結果を発表した。それによると、COVID-19が2020年3月2日時点で100人以上の感染者が確認された市場に封じ込められたシナリオでは、世界の航空会社の損失は630億ドル(約6兆7410億円)にのぼる見込み。

旅客数の減少率は、中国23%減、日本12%減、シンガポール10%減、韓国14%減、イタリア24%減、フランス10%減、ドイツ10%減、イラン16%減と予想。また、アジア(中国、日本、シンガポール、韓国を除く)は11%、ヨーロッパ(イタリア、フランス、ドイツを除く)は7%、中東(イランを除く)は7%それぞれ減少すると試算した。

この需要の減少による損失額630億ドルは、世界全体の旅客収入の11%に相当する。このうち、中国は約220億ドル(約2兆3130億円)を占めると予想。中国を含むアジア市場の損失額は、470億ドル(約4兆9420億円)になると試算した。

さらに、現在10人以上の感染者がいる国でさらに感染が拡大したシナリオでは、損失額は世界全体の旅客収入の11%に相当する1130億ドル(12兆910億円)に拡大すると分析した。

IATAは、2月20日の時点で、COVID-19の感染が中国路線に関係する場合の損失額を293億ドル(約3兆3690万円)と試算していたが、感染が世界中に拡大していることから、今回の発表はそれを大きく上回る結果となった。

COVID-19が発生して以降、航空会社の株価はおよそ25%下落。SARSが発生した2013年よりも21ポイントも下落幅が大きくなっている。