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旅行大手Trip.com、海外旅行の復活へ需要喚起策を発表、ライブ配信での販売に活路、世界3万軒のホテルを最大6割引

旅行会社の世界大手、トリップ・ドットコムグループ(Trip.com)は、国際観光のリバイバルプラン発表イベント「Travel On」をYouTubeライブで開催し、需要喚起に向けた今後の取り組みやパートナー企業との協力関係強化について発表した。

同グループは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で大きな影響を受けているパートナー企業に対して、1億4000万ドル(約150億円)の財政支援を実施しているが、さらに国際観光の復興に向けて5億ドル(約536億円)を投じて「Travel On」ファンドを設立する。

また、消費者向けには、「Travel On」セールを展開。 世界各地からライブ配信でセールスイベントを展開する「Trip.com ライブ」を実施し、180か国以上にある3万軒を超えるホテルを対象に最大60%の特別割引を行う。6月23日から正式に開始し、まずは数週間のうちに10回のライブ配信を予定。発表を行った同グループCMOの孫波(ソン・ハ)氏は、「すでに特定市場では先行して行われており、これまでの配信で7000万ドル(約75億円)以上の予約を受けている」ことを明らかにした。

トリップ・ドットコムグループCMOの孫波(ソン・ハ)氏

さらに、旅行の安全性と柔軟性が旅行者にとって最優先事項になっていることから、同グループでは、世界的な旅行プラットフォームとして、新しい取り組みも進めていく。

まず、アプリ上の海外旅行ガイドを刷新し、従来の観光情報に加えて、各国の最新入国制限情報、旅行のキャンセル保証など、Withコロナで旅行者が必要とする情報を提供。さらに、宿泊や航空の予約では、多くのパートナーに同グループの「フレックス予約キャンペーン」に参加してもらうことで、予約の柔軟性をさらに向上させる。航空会社とのキャンペーンでは、変更手数料の無料化や早期予約割引を導入する。また、観光施設および現地ツアーのチケットでは、事業再開前でも予約・購入を可能とし、eチケット化することで非接触による入園や参加を促していく。

同グループCOOシューベルト・ロウ氏は「こうした柔軟な予約システムは、旅行に向けて消費者の背中を押すことになる。今後もより多くのパートナーにこのプログラムの参加を呼びかけていく」と意欲を示した。

トリップ・ドットコムグループCOOシューベルト・ロウ氏

同グループCEOの孫潔(ジェーン・スン) 氏は、「Travel Onとして、安全で柔軟な取り組み、そして魅力的な割引価格の商品を提案していく。今後の旅行の計画を立てはじめ、 旅への想いを巡らせる時が来ている」とコメント。近い将来の海外旅行の復活に期待感を示した。

Google旅行トレンドリポート、今後行きたい国のトップは日本

このほか、Trvale Onイベントでは、Googleチャイナ・オンライン旅行事業責任者のウィルソン・ウー氏が、「旅行トレンドリポート」を発表。各地で徐々に移動規制が緩和されていることにともなって、 短距離旅行への関心が高まっており、 旅行を検討している人のうち、今後3か月以内に旅行に行きたいと考えている人は約3割にのぼるっていることを明らかにした。

また、 アジア太平洋地域の検索データによると、今後旅行に行きたい国のトップは日本で、タイ、香港、米国、韓国と続いていることから、ウー氏は「アジア太平洋の大部分の旅行者は、同域内の旅行をまずは望んでいる」と分析した。

YouTubeライブよりさらに、今後の旅行計画において消費者が重視していることも調査。それによると、最も関心が高いのが「無料のキャンセル料」で57%、次いで「先行販売のプロモーション価格」で27%、「旅行中の保険適用範囲」が25%となった。

そのうえで、ウー氏は観光業界が必要なこととして、「将来ではなく、回復を見せる今の需要トレンドを掴むこと」「柔軟性のある商品とサービスの提供」「トレンドを継続的に注視すること」を挙げた。

*円換算は1ドル107円でトラベルボイス編集部が算出