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ワタベウェディングが私的整理手続き、興和の完全子会社に、事業は継続

海外ウェデイングサービスを展開するワタベウェデイングは、今後の事業再生と事業継続に向けて財務体質の抜本的な改善を図るため、私的整理のひとつ「産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続 (事業再生ADR手続)」の利用を申請し、受理された。

今回の事業再生ADR手続は、中立かつ公正な立場の事業再生実務家協会のもとで、取引金融機関のみを対象として進められる。ワタベウェデイングでは、この手続は金融債権以外の一般商取引債権を対象とせず、法的な倒産手続とは異なるため、すでに婚礼などの予約をしている顧客、各種仕入先や業務委託先、賃借物件についての賃料の支払いなどに何ら影響を与えるものではないとしている。

これを受けて、同社は興和と出資契約を締結。興和からスポンサー支援を受け、完全子会社となる。具体的には、興和を割当先とする払込金額の総額20億円の第三者割当による同社普通株式を発行。同社は非上場となる。大株主の千趣会、寿泉およびディアーズ・ブレインは、それぞれの株式を無償で同社および興和に譲渡することで合意している。

興和との出資契約においては、スポンサー支援の前提条件として、取引金融機関による相当額の債務免除の合意などを含む事業再生計画案を成立させることが求められていたため、事業再生手続ADRの利用の申請を行った。

新型コロナウイルスの感染拡大によって海外旅行が大幅に制限されるなか、ワタベウェディングは、婚礼・宿泊・飲食・旅行などの関連事業が直接的な影響を受け、2020年12月期で営業損失109億8300万円、経常損失110億7500万円、純損失117億3800万円を計上。8億6300万円の債務超過に陥っていた。

興和は、名古屋市に本社を置き鎮痛消炎剤「バンテリン」や胃薬「キャベジン」など医薬品事業で知られる企業。一部ホスピタリティ事業も行っており、名古屋では「名古屋観光ホテル」「ナゴヤキャッスル」、ハワイに「ESPACIO」などホテルを傘下にもつ。