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米国で注目される「セカンドシティ(2番目の街)」とは? 大都市を避ける理由と旅先選びの変化をまとめた【外電】

ワクチン接種を完了したとしても、ほぼ1年ぶりに近い次の旅行先に、混雑する大都市を選ぶかどうかは微妙だ。そこで検索するのが「セカンドシティ」だ。

セカンドシティの定義は曖昧だ。一般的には、その自治体や国の中で、2番目に人口が多い街のことだが、3~4番目、あるいは10番目ぐらいの街を指す場合もある。要は、巨大かつ人々でごった返すメトロポリスではなく、もっと小さくて、人口密度の低い場所が望ましい、ということ。

こうした考えの人は少なくない。2021年3月に出たアメリカンエキスプレス・グローバルトラベル・トレンドのレポートでは、回答者の69%が、今年はあまり知られていないデスティネーションに関心があると答えている。その理由はもっともだ。

人混みを避ける

2021年の旅行で大都市を避ける最大の理由は、人混みを避けたいため。なぜなら新型コロナウイルスのパンデミックはまだ終わっていないからだ。

2020年から2021年初めまで、バケーションや家族の集まり、結婚式などは不可となっていた。その分までを取り戻そうと観光業界は動き出しており、非常に忙しいシーズンになりそうだ。米TSA(運輸保安局)によると、2021年6月は、空港のチェックポイントで処理した旅客数が、パンデミック以降で最高値となる日が複数あった。

一方、旅行業界では、対応が追い付かないところも出始めており、昨年解雇した社員を呼び戻したり、新しいスタッフを大急ぎで雇って研修をおこなう企業もある。米国の失業率は依然として高いが、人が足りないと話す事業者は多く、特に飲食店など観光関連の分野でこうした傾向が顕著だ。

行動制限やロックダウンが一年以上、続いた後なので、例えば代表的な繁華街、ラスベガス・ストリップ沿いにひしめくレストランでは、旅行者の急増に当惑気味かもしれない。きらびやかなベガスの飲食店はごった返しているが、一方でその周辺エリアでは、ここ一年ほど地元住民しか見かけなかったこともあり、久しぶりにやって来た旅行者はむしろ大歓迎だろう。

飛行機に乗らなくてもよい

CDCは米国内線の航空機利用について、ワクチン接種をすべて完了している場合、比較的、安心との見解を示しているが、それでも乗り気ではない人もいるだろう。

もちろんメキシコ旅行なら空路は避けられないが、自宅から近いセカンドシティなら、車でのドライブ旅行も可能だ。

ロサンゼルス在住の人なら、サンタバーバラでの優雅なグランピングができる。ヒューストン近隣やルイジアナからは、数時間のドライブで、ケイジャン料理の聖地、ラファイエットへ出かけられる。

日程を長くしてワーケーションも

大都市とセカンドシティの両方を楽しみたい旅行者もいるだろう。マスクを二重にして6時間のフライトに耐え、サンフランシスコまで大陸を横断するのであれば、滞在期間もたっぷり数週間から1カ月に延長し、カリフォルニア北部で過ごしてはどうだろう。時間はたっぷりあるので、ソノマでシャルドネを飲んだり、レイク・タホでスキーを楽しんだ後、丸太小屋でのんびり過ごせる。

こうした過ごし方は、今、注目のワーケーションの一案だ。いつもより長い日数を予約しても、バーチャルな環境で働くことが可能なら、いつも通り、1日8時間ほど仕事できる。リモート勤務できるなら、仕事しながら旅行もできる。今までより長い滞在を検討してみよう。

おすすめのセカンドシティは

米国内で人気の大都市と、そのセカンドシティであり、旅行先としておすすめの街を以下に挙げてみた。

セカンドシティ需要に備える旅行業界

新しい航空会社や既存大手が、小さな都市へ新路線を就航する動きも目立つ。同様に、こうした町でのホテル開業も増えている。

今春、サウスウエスト航空が発表した新規就航計画を見ると、カリフォルニア州サンタバーバラ、南カリフォルニアのマートルビーチ、モンタナ州ボーズマンといった地名が並ぶ。

一方、ハイアットは同じくこの春、テネシー州第二の都市メンフィスと、ヨセミテ国立公園から車で近いカリフォルニア州マーセドで、新しいブティックホテルを開業した。