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HIS、純損失332億円、海外ツアー再開も旅行事業は本格的な回復に至らず —2022年10月期第3四半期

エイチ・アイ・エス(HIS)は、2022年10月期第3四半期(2021年11月1日~2022年7月31日)の連結決算を発表した。同社は前期から会計基準を「収益認識に関する会計基準」に変更している。それによると、売上高は999億4000万円(前年同期880億7100万円)、純損失は332億6300万円(前年同期336億3000万円)。

第3四半期について、コロナ禍から経済活動が正常に向かうものの、世界的に金融引締めが進み、金融資本市場の変動や原材料価格の上昇、供給面での制約などによる下振れリスクが高まるなど、依然として厳しい状況となったとしている。

営業損失は391億4200万円(前年同期473億5000万円)、経常損失は391億1800万円(前年同期462億6000万円)と改善した。

主力の旅行事業では、海外旅行では5月にハワイを皮切りに自社主催ツアーを再開し、37カ国まで拡大(2022年7月末時点)。しかし、1日の入国者数上限などの制限などによって、本格的な回復は見られなかった。国内旅行では、「県民割・ブロック割」による需要を取り込んだ。海外での旅行事業では、自由な往来が可能な地域が拡大していることから、主にローカルマーケットでの旅行需要の回復が見られた。その結果、売上高は394億6800万円、営業損失は225億5500万円となった。

テーマパーク事業では、ハウステンボスの総入場者数は前年同期比225.9%と前年を大きく上回ったものの、ラグーナテンボスはコロナ以前の水準には至らなかった。その結果、売上高は151億7400万円、営業損失は1億5800万円。なお、HISは8月末にハウステンボスを香港の投資会社に売却することを発表している。

ホテル事業では、国内では稼働率が回復した一方、海外ではメインターゲットである日本からの海外旅行が困難な状況が継続していることから、宿泊者数の大幅な改善は見られなかった。その結果、売上高は161億1200万円、営業損失は34億5400万円。今期は、ウズベキスタンの首都タシケントに「ホテルインスピラ-S タシケント」を新規開業しており、運営施設は世界6カ国8ブランド42軒となっている。

九州産公グループについては、バス事業、飲食物販事業及び旅行事業などで回復がみられたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響が残り、売上高は132億3800万円、営業損失は10億8300万円。

エネルギー事業の売上高は243億2800万円、営業損失は97億2400万円。2022年5月20日をもってHTBエナジーの全株式の譲渡が完了している。