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大韓航空、アシアナ航空との統合控え、企業ブランド戦略を発表、機材デザインの変更や、日韓路線の拡大方針も

KE李碩雨氏

大韓航空は、2025年に41年ぶりとなるコーポレートアイデンティティー(CI)の刷新をおこなった。新たなブランドプラットフォームのキャッチフレーズは「KE Way」。同社は2024年12月にアシアナ航空(OZ)を子会社化し、2年間の準備期間を経て2027年をめどに統合を控えている。

先ごろ、日本のメディア向けに都内で開催した説明会で、日本地域本部本部長の李碩雨(イ・ソグ)氏は、「CIは統合を象徴する意味も込められている」と言及したうえで、「ロゴや機体デザインといった見た目だけでなく、経営理念も絶対安全、顧客満足向上の価値を企業の原点として(あらためて)重視するとともに、新しいスタート、一層ダイナミックな未来へ飛躍できるよう策定した」と述べた。

仁川経由の日本人海外旅行獲得にも意欲

同社の日韓路線は2025年4月時点で、21路線・週222便を運航。4月18日にも神戸/仁川線に毎日2便体制で新規就航したばかりだ。今後の日韓往来の需要予測について、李氏は「2024年が約1200万人だったのに対し、2025年は1~3月の動きが好調。航空業界全体に米トランプ大統領の政策などによる不確定要素はあるものの、年間で1400万人を超えるのではないか」との見通しを示した。また、日本地域本部旅客チーム長の金載善(キム・ジェソン)氏は「北海道から沖縄まで、日本のさまざまな地域をつなぐとともに、日本の地域の魅力を世界に紹介する橋渡しの役割をしていく」と語った。

訪日・訪韓数の不均衡が将来的な往来拡大に向けて問題視されている点については、ウォンに対する円相場が上昇しつつある為替の変化に触れ、「訪韓日本人は、今後、徐々に増えるのではないか。実際、仁川経由の海外旅行も増えている」(李氏)、仁川空港をハブとした第3国への需要取り込みにも意欲を示した。現在、韓国国内を含む全世界への就航地は34カ国106都市にのぼっている。

今後の路線計画については、李氏が「できるかぎり、維持・拡大していきたい」と述べる一方で、地方空港のグランドハンドリングの人手不足、福岡をはじめとした過密空港のスロット不足、保安検査の時間制限などが一部ネックになっていると指摘。機材は「羽田路線は大型化したい」との考えだが、「収益性を高めるために小型化が進んでおり、コロナ禍前のように大型機を多く投入することはなかなか難しい」と説明した。運航回数は増えているものの、小型化によって全体の座席数が減少している現状もある。

シンボルがダークブルーの単色に変更

今回のCI刷新により、ロゴ、機体デザイン、ファーストクラスやビジネスクラスのアメニティキット、寝具なども変わる。

たとえば、これまで赤、青、白が印象的だったシンボルマークはダークブルーの単色となり、ロゴタイプは筆で描いたような仕上がりに変更する。機体デザインはロゴタイプとシンボルを大きくするほか、これまでの青を基調にパール調のメタリックを取り入れて上質なプレミアムブランドイメージを訴求する。機体デザインの変更は、大韓航空を先行的に進めてCI刷新を根づかせたうえで、2027年の経営統合に向けてアシアナ航空に着手。今後、3年間程度を見込んでいる。

なお、航空アライアンスについては、大韓航空のスカイチームに一本化するが、「日韓路線は今後、アライアンスが異なるJAL(ワンワールド)、ANA(スターアライアンス、現在はアシアナ航空が加盟)ともさまざまな協力関係を築いていかなければならない」(李氏)との考え。実際、新規就航した神戸空港では、地上業務をANAに委託しており、多様な手法を模索していく方針を示した。

変更になる機体デザインやアメニティキット