
スペインのカスティージャ・ラ・マンチャ州は、このほど日本の旅行業界を対象に同州の観光の状況を伝えるプレゼンテーションをおこなった。エミリアーノ・ガルシア州首相(写真)、経済・企業・雇用大臣パトリシア・フランコ・ヒメネス氏らが来日。駐日スペイン大使館関係者らとともに、同州の魅力をアピールした。
州首相は、スピーチで日本とスペインの文化的なつながりに触れ、特に、同州におけるキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の3宗教が長く共存してきた歴史的背景を紹介。その文化的多様性こそが同州の観光資源であると強調した。また、州内の高速鉄道網の整備が進んでおり、首都マドリードからトレドやクエンカといった主要都市へも約1〜2時間でアクセス可能である利便性も強調した。
経済・企業・雇用大臣のパトリシア・フランコ氏からは、同州の観光資源の豊富さを紹介。7つの自然公園、26カ所以上の考古学遺跡、世界遺産都市トレドとクエンカをはじめとする歴史的・文化的遺産に加え、食文化の豊かさも大きな魅力であるとアピールした。
経済・企業・雇用大臣のパトリシア・フランコ氏
スペイン駐日大使のイニゴ・デ・パラス氏は、大阪万博を契機にスペイン各州からも多くの代表が来日していることを紹介。そのうえで、「日本市場への関心は高まっている。今後は航空便の利便性向上などコネクティビティの課題も解決しながら、より多くの日本人旅行者にスペインを訪れてほしい」と期待感を示した。イベリア航空も2023年10月よりマドリード直行便を週3便再開しており、回復基調を支えている。
スペイン駐日大使のイニゴ・デ・パラス氏
スペインの外国人観光客数、2025年は1億人に達する見通し
スペイン全体の観光状況については、スペイン大使館観光参事官アレハンドロ氏が最新の統計を紹介した。
2024年、スペインは年間外国人観光客数で世界第2位となったが、2025年の観光客数の動向も堅調で「今年は1億人に達する」との見通し。日本人訪問者数については、2019年に記録した過去最高の67万8000人から、2024年には約70%まで回復している。2025年第1四半期の実績では、前年同期比で20%増の10万7000人に達しており、回復基調は継続中だ。この要因のひとつとしては、イベリア航空の直行便の再開による効果をあげた。
スペイン大使館観光部では、日本の旅行会社を対象に同州の主要観光地を視察するファムトリップも実施しており、文化・歴史・食といった多様な魅力を武器に、さらなる日本人旅行者の獲得を目指していく考えだ。