
英国政府観光庁(VisitBritain)は、日本からの訪英する旅行者の促進に向けて大阪・関西万博の英国パビリオン(写真)で「UK Tourism Day(UKツーリズムデー)」を開催した。当日は、英国から来日したDMCやホテル、観光施設など観光関連事業者と、日本の旅行業界関係者が参加し、商談会とセミナーが開催された。
セミナーでは、グローバルで展開中のスクリーン・ツーリズムキャンペーン「Starring GREAT Britain(SGT:スターリング・グレート・ブリテン)」を紹介。スクリーン・ツーリズムとは、映画やTVをきっかけにした観光のことで、VisitBritainでは新たな観光キャンペーンとしてロケ地に焦点を当ててプロモーションをおこなっている。
プロモーション動画では、ハリウッド俳優のトム・クルーズさんを起用。映画「ミッション:インポッシブル」や「ハリー・ポッター」、「パディントン」などの映像を織り交ぜて、ロンドン、エディンバラ、スコットランド、北東イングランドの古城など、コミカルな構成でロケ地を紹介している。
プロモーションは、日本を含む主要市場にむけてオンライン・SNS広告などを展開。旅行業向けプラットフォームでは、ロケ地マップやジャンル別の旅行モデルルートを公開して旅行会社の企画をサポートしている。
なお、同庁の調査によると、英国訪問を検討中の日本人旅行者のうち70%が「映画やドラマのロケ地や、画面で見た場所を訪れたい」と回答したという。
日本人の旅行者増加に期待
2024年に英国を訪れた国外からの訪問者数は、コロナ前とほぼ同水準の約3920万人(暫定値)。英国政府は、2050年までに年間5000万人の旅行者を迎えるという目標を掲げている。今回実施されたSGTは、国家戦略として推進されている「GREATキャンペーン」の一環。英国ブランドの世界的な評価を高め、国外からの訪問、留学、貿易、投資、居住、就労を促進するもので、観光分野は戦略的柱の一つに位置づけられている。
UKツーリズムデーの開催にあたり、挨拶にたった駐日英国大使ジュリア・ロングボトム氏は、SGTについて「映画やTV番組の魅力を通じて、英国を『次の旅先』として選んでもらい、より多くの地域をめぐりたくなる、今すぐ旅に出たくなる、そんな気持ちを後押しすることを目的としている」と説明した。また、「この万博は、日本のみならず世界中の方々に英国を魅力的な観光地としてアピールする絶好の機会」と語り、日本からの英国訪問者が増えることに期待をかけた。
駐日英国大使ジュリア・ロングボトム氏
VisitBritainでは、2025年の訪英日本人旅行者数を前年比24%増の38万9000人、旅行消費額を同30%増の4億3300万ポンド(約836億円)と予測している。UKツーリズムデーは、5月に開催された「英国ナショナルデー」にならぶ注力事業で、英国側からウェールズ、ノースウェールズ、マンチェスター、オックスフォードなどから観光局、マナーハウス、語学学校ら事業者が来日。日本の旅行業界関係者に、最新の観光商品や体験型商品を紹介し、ツアー商品の造成や将来の組み込みを後押しすることで、英国各地への送客促進に期待をしている。
日本と英国の旅行関係者らの商談会の様子
※ポンド円換算は1ポンド193円でトラベルボイス編集部が算出