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運輸総合研究所、「地域交通制度の革新」へ緊急提言、法制度見直しや支援のあり方など取りまとめ

運輸総合研究所は、「地域交通制度革新に関する検討委員会」での議論をふまえ、地域交通の制度革新に向けた27項目をはじめとする制度案を緊急提言としてとりまとめた。

地域交通の主な担い手である民間企業は、厳しい経営状況に加えて、運転士などの不足が一層深刻化。地域交通事業の存立自体が困難となり、地方部のみならず都市部でもサービスを縮小している危機的状況との認識を示した。そのうえで、将来にわたってバスなどの地域交通サービスが確保・維持されるためには、法制度などの抜本的見直しによる地域交通制度の革新が早急に必要だとしている。

運輸総合研究所は、地域交通確保の責任主体は自治体であり、公的負担の根拠は支援(補助)ではなく委託での対価であるなどの考え方に基づいて、法改正を含めた制度革新の早期実現に向けて、国や自治体などに働きかけていく。

緊急提言では、地域交通の重要性について、「社会資本」「公共財」として、地域交通を担う地域交通産業は、国家的・国民的・地域的に不可欠で重要な基盤産業と位置付けている。

地域交通制度の革新案、地域交通の確保は自治体の責任

そのうえで、地域交通事業の存立自体が困難となっている現状で、国民の生活の質(QOL)向上の観点から、「需要」に対応する健全な事業の存立と、健全なサービスの確保・維持・継続等の「供給」を確保する必要を指摘。そのためには、「交通政策基本法」に基づき、道路運送法、道路交通法、地域公共交通活性化・再生法をはじめ、地域交通に関するあらゆる法制度などの革新が必要と提言した。

地域交通の制度革新に向けて、27項目をまとめた。そのうち、地域交通全般に共通の基本的な事項として、地域交通の確保のための責任主体は自治体であること、法定協議会の設置及び法定計画策定の義務化を提示。また、必要なサービス水準は国が交通政策基本計画などで明示すること、事業開始の許認可は法定協議会の合意を要件化し、法定協議会の合意により挙手方式で自治体がおこなうことも可能とするなどを挙げた。

また、自動車交通事業の制度に関する事項では、道路を活用した人の輸送に係るサービスを継続提供する事業はすべて「自動車交通事業(仮称)」とすることなどを要望。さらに、地域交通確保のための負担・財源などに関する事項では、公的負担の根拠は支援(補助)ではなく、委託への対価とし、地方交付税の地域交通充当額の明確化などを提言した。