トラベルボイストラベルボイス | 観光産業ニュース 読者数 No.1

インフラツーリズムでの特別体験型のツアー創出へ、通常は立ち入り禁止の保守通路など見学する実証ツアーを実施

東武トップツアーズは、「令和7年度(2025年度)観光庁地域観光魅力向上事業」に採択された、鬼怒川上流ダム群などのインフラツーリズムを促進する実証ツアーの成果をとりまとめた。インフラを新たな観光資源としてとらえ、従来の社会科見学型インフラツーリズムの枠を超えた形態のツアー創出を目指す取り組みだ。

※写真:川治ダムの点検用通路(編集部撮影)

実証ツアーは、インフラツーリズム事業化研究会を発足したゼネコンの佐藤工業が採択された、栃木県における「土木技術者の知見を活かしたインフラツアーで鬼怒川上流ダム群を観光資源化し、地域の魅力向上を図る事業」の一環。日光・鬼怒川エリアの鬼怒川上流ダム群のインフラ施設を新たな観光資源とし、東武トップツアーズと佐藤工業が連携して2025年11月に3回実施した。

ツアーには合計56名が参加。施工現場に従事してきた土木技術者が同行し、通常では立ち入ることができないダムの点検・保守作業のための狭い通路「キャットウォーク」などを見学するマニアックな体験ができるツアーとして実施。治水、利水、発電をおこなうダムの仕組みや構造と、ダムによって支えられる地域の歴史や生活などを専門家ガイドが知見や現場の視点を交えて解説した。

参加者からは、ダムの構造や緊急放水のオペレーションに関する質問が飛び交い、ツアー実施後のアンケートでは、「施設管理者、土木技術者からの丁寧な説明でインフラへの理解や興味が深まった」「インフラと地域のつながりが理解でき、他のダムツアーにも参加してみたい」といった声が寄せられたという。

インフラツーリズムに高いポテンシャル

東武トップツアーズでは、特別感と専門性、体験型を兼ね備えたツアーが高い評価を得たとして、今後、インフラに加えて地域に根ざしたコンテンツを盛り込んだツアーを開発していきたいとしている。

佐藤工業は、ゼネコンだからこそのインフラツーリズムを展開することで、「インフラ」をより市民と共有し、持続的な「安全・安心・快適」な社会を実現することを目指している。今回の実証ツアーで、そのポテンシャルと課題を把握。今後は、成果を踏まえて社内のコンセンサスも含めてインフラツーリズムへの取り組みを前進させていくとコメントした。