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日本含む世界4地域で「ユネスコ × ガストロノミー」プロジェクト始動、持続可能な食体験をルレ・エ・シャトーが提唱

ユネスコは、世界580の独立系の卓越したホテル・レストランが加盟する「ルレ・エ・シャトー(Relais & Châteaux)」とのパートナーシップのもと、4つの新たなパイロットプロジェクトを開始する。世界で著名なシェフとユネスコ指定地域(世界遺産や生物圏保護区など)を結びつけ 、生物多様性の保護と文化遺産の継承、持続可能な食のあり方を支援するもの。日本を含めた世界4地域で展開される。

ルレ・エ・シャトーのシェフ部門副会長でユネスコ親善大使のマウロ・コラグレコ氏が提唱した取り組みで、すべてのプロジェクトは、「地球上のすべての生命を尊重する」「地域の知識を次世代へ継承する」「変化を促すために連帯する」といった3つの柱で選定された。これらの活動を通じ、食体験を地球環境や地域社会への貢献につなげる狙いだ。ガストロノミーツーリズムにも発展する可能性を秘めている。

1.持続可能な漁法、海洋生態系の回復と伝統の継承

レフェルヴェソンス(L’Effervescence):生江史伸 シェフ/奄美大島、徳之島、沖縄本島北部、西表島(世界自然遺産)

生江シェフは、漁師が収穫しながら水中の生態系を直接観察できるフリーダイビング・スピアフィッシング(素潜り漁)などを通じて、環境負荷の低い漁法と、藻場再生などの保全活動を組み合わせることで、生態系の回復と生物多様性の保護にどのように貢献できるかを実証する。

この取り組みでは、奄美大島の漁師、地域社会、ユネスコ世界遺産の管理団体との連携を通じて、持続可能な漁業を実践。漁業管理の伝統的なノウハウを伝承していく。レフェルヴェソンスでは、海の「水中の森」の再生は陸上の森の再生と同じくらい重要であることを啓発していく。

2.在来種と失われた食材、違法採取の抑制と栽培

フィンレストラン(Fyn Restaurant):ピーター・テンペルホフ シェフ/南アフリカ・コーゲルベルグ生物圏保護区およびケープ・フローラル地域保護区

シェフのピーター・テンペルホフ氏は、生物多様性を守り、専用農場で在来種を栽培。その生態学的重要性に対する意識を高め、違法採取を抑制する取り組みをおこなっている。

また、レストランでは両保護区で直接調達した食材を使用している。

3.無形文化遺産と匠の技、フランス料理の文化と地域農業

メゾン・ピック(Maison Pic):アンヌ=ソフィー・ピック シェフ/フランス美食術(無形文化遺産)

シェフのアンヌ=ソフィー・ピック氏は、食材のほとんどを有機農業で有名な地元ドローム県とアルデシュ県から調達。今後、この取り組みが地域におけるユネスコ無形文化遺産の登録に影響を与える可能性がある。

アンヌ=ソフィー・ピック氏は、生物界の無限の可能性を探求し続け、特に古代植物種の再生を通して、農業生物多様性と野生生物多様性のつながりに力を入れている。

4.食育と地域社会への支援、次世代への教育と植物由来の変革

イレブン・マディソンパーク(Eleven Madison Park):ダニエル・フム シェフ/米国シャンプレーン・アディロンダック生物圏保護区

シェフのダニエル・フム氏は、先住民や地元の生産者と協力して、シャンプレーン・アディロンダック生物圏保護区から食材を調達。シャンプレーン・アディロンダック生物圏保護区をはじめとする地元のステークホルダーと共同で「フード・フューチャーズ・ラボ」を立ち上げ、生物多様性と植物由来の料理芸術に関する教育とイノベーションを促進している。