「睡眠(Sleep)」と「休暇(Vacation)」を組み合わせた造語「スリープケーション(Sleepcation)」という旅行スタイルが新たなトレンドになりつつあるなか、リトアニア・ビリニュス観光局は、「スリープ・ツーリズム」による観光客誘致を目指す。同局では、スリープ・ツーリズムが2025年から2030年にかけて年間12.4%成長すると見込んでいる。空気が澄み、光や騒音が少ない、睡眠に適した宿泊施設への需要が高まっているという。
リトアニアの神経科学者であり睡眠研究者でもあるローラ・ボヤルスカイテ博士は、休息を促す都市に見られるいくつかの共通点を指摘。ビリニュスの都市特性が、いかに睡眠科学の観点から理想的であるかを説いている。
まず、緑地、公園、池、川などの自然環境。博士によると、そのなかで過ごすと、ストレスホルモンであるコルチゾール値が低下する傾向がある。
次に、開かれた空と空間。睡眠に優しい都市は、高層ビルによる絶え間ない垂直方向の圧迫感ではなく、充分な空間が確保されている。
移動の利便性も重要だという。乗り換えの多さや交通渋滞、騒音、方向感覚がつかみにくい複雑な街並みは、脳に大きな「認知負荷」を与える。ゆとりのある都市構造は、このストレスを最小限に抑える。
また、歩きやすい都市では、歩くことで脳内のアデノシン(睡眠を促す分子)の蓄積が増加。アデノシンの蓄積量が増えるほど、夜間の深い眠りへの欲求が強くなる。
このほか、静かな夜の環境についても指摘。睡眠には、交感神経から副交感神経への切り替えが必要なことから、日没後、街路が静かになり、交通量が減り、視覚的な刺激が減少する都市では、神経系は安全に活動を休止できるという信号を受け取りやすいとしている。