トラベルボイストラベルボイス | 観光産業ニュース 読者数 No.1

旅行テックの国際会議「WiT Japan2026」開催へ、世界の旅行トップらが集結して議論する「次の20年」の論点とは?(PR)

旅行とテクノロジーの国際会議「WiT(Web in Travel)」が2025年秋に20周年を迎え、次の20年に向けて動き出している。その日本版として始まった「WiT Japan」が、2026年6月1~2日に開催される。今回のメインテーマは、「The Next 20」。今年も、日本および東アジアで活躍するトラベル業界のキーパーソンや論客たちが集結する予定だ。

あらゆる領域で加速するAI改革の行方から世界の旅行者の旅先としての日本の未来像、「人の心を動かす」という普遍の問いまで、幅広い議論を展開する。今年のプログラムの見どころと、その企画に込めた想いをWiT Japan共同創設者である柴田啓氏と浅生亜也氏に聞いた。

オンライン化からAI化へ

2012年の日本上陸以来、国内および北東アジアのスタートアップの活気と多様性を紹介し、オンライン旅行市場のトレンドや課題、旅行業界を超えた幅広い観点から見た旅行の未来を議論してきたのが「WiT Japan」だ。

今回のメインテーマ「The Next 20(次の20年)」。共同創設者の柴田啓氏は、「これまでのジャーニーを検証しつつ、その延長線上にある次の時代について、より本質的、多面的に議論し、中長期ビジョンを考える場にしていく」との考え。さらに、独自のサブテーマとして「精密さ、再構築、そして静かなる力(Precision, Reinvention & Quiet Power)」を掲げ、日本の強みを磨き上げる上で、そのハイコンテクスト文化の価値にもっと意識を向けてみようとの意図を込めた。

同じく共同創設者の浅生亜也氏は、自身が初参加した2008年当時のWiTシンガポールを振り返り、「まだスマホが普及しておらず、OTAが新しい存在だった。モバイルで予約を受ける時代がやってくると話していた」と振り返る。

以来、一貫してオンライン化、旅行業のOTA化が進んできたが、現在は新たな転換点にある。AI普及によって、「次の20年は、もしかするとOTA化から別の方向への転換が進む可能性もある」と柴田氏は指摘。同様に、「宿泊でも航空でも、大きな勢力がさらに大きくなる業界再編の流れが続いてきた。AI時代は、どうなるのか?この傾向がさらに加速するのか、あるいは大きなゲームチェンジが起きるのか。今は、大きな転換期にある」との見方を示す。

20年という長いスパンで今後を考える理由について、AIという大きな変革が進んでいるタイミングだからこそ、「目先の変化や短期的な成長に、近視眼的に踊らされることなく、地に足を着けて、中長期的な未来、持続できる成長を見失うことがないように」(柴田氏)との狙いもある。

「押し寄せてくる様々なイノベーションの波を捉えつつ、本質的にやるべきことを議論し、皆で意見やヒントを出し合う機会を作ることが、これまで以上に重要。それこそがWiTの存在意義でもある。人間同士の深いディスカッションは、これまでも、これからもWiTの場が持つ不変の魅力」であり、「AIでは代替できない部分でもある」と柴田氏は自負している。

WiT Japan共同創設者 柴田氏

AI時代、際立つ「情緒的価値」

では、目下、準備の最終段階に入っている今年のWiTJapanのプログラムを見てみよう。今年も多彩な切り口で、旅行業界内外のキーパーソンに語ってもらう趣向で、話題の主役は引き続きAIだ。その変革の可能性と限界点、AI時代だからこそ注目されていることに焦点を当てていく。

登壇するスピーカーの一人、アゴダ(Agoda)CEOのオムリ・モーゲンシュターン(Omri Morgenshtern)氏からは「グローバルOTAを率いるCEO職では、おそらく唯一の技術系出身者であり、テクノロジー大好き人間としても知られる。非常に興味深い話が聞けそうだ」(柴田氏)。大規模言語モデルを搭載したAIアシスタント「トリップ・ジーニー(TripGenie)」など、先端プロダクト開発に取り組んできたトリップ・ドットコム(Trip.com)のシニア・プロダクト・ディレクター、エミー・ウェイ氏には、その開発秘話から最新のAIエージェント活用まで、イノベーションの最前線について聞く。

同時に、旅行ビジネス側にとっての解だけでなく、旅行者にとって、何がベストなのかも議論する。浅生氏は「特に人手不足の日本では、AI に効率化や時短を期待する傾向が強い。しかし、顧客側が普遍的に求めているのは、旅の情緒的な要素。AI時代には、むしろそうした期待値が高くなり、ホスピタリティの難易度が高くなるのではないか」と予測している。

「我々の業務がAIで省力化できるのと同様に、消費者側も旅において、色々な手間が省けるようになっている。その結果、例えば宿泊するだけでなく、顧客接点のあり方も含めて、新たな価値が求められている。サービスを高度化し、スピードアップし、期待に応えるためには何が必要なのか。AIに任せてのんびりしてはいられない」と浅生氏は警鐘を鳴らす。

こうした考えから、今回の「顧客体験」に関するセッションでは、AI時代だからこそ深掘りするべき情緒的な価値について考察する。題して「Product as Poetry(詩としてのプロダクト)」。「何が人間の心を動かすのか」を探り、日本の哲学や美意識、クラフツマンシップなどにも焦点を当てる。

登壇する日本ガストロノミー協会の柏原光太郎氏、東北の旅籠文化を継承する旅館「湯主一條」20代目代表、一條一平氏などに、五感や情緒的な価値をどう捉え、どう表現しているのかを聞く。「経験にもとづく生の声を、会場の空気感も含めて届けることで、何かしらの気づきを得られるようにしたい」(浅生氏)と考えている。

WiT Japan共同創設者 浅生氏

ローカルコミュニティとの共生は待ったなし

デスティネーションとしての日本の次の20年についても、色々な角度から取り上げる。「AIが深く関わることは必至で、宿泊、体験、OTA、タビナカなどの切り口から、一つ一つ見ていく。日本がデスティネーションとして成熟するなかで、アドベンチャー、ウェルネス、スポーツなど新しいツーリズムの形も発展しているので、多様な価値観をカバーする」(柴田氏)。

地域コミュニティとの共生をテーマに、ゴールデンルートからの需要分散や、オーバーツーリズム解消について取り上げるセッションでは、この課題に詳しいEYストラテジー・アンド・コンサルティングのストラテジックインパクト・パートナーの平林知高氏が登壇。問題解決の取り組みで先行するスペインのカタルーニャ観光局アジア太平洋地区ディレクターのラウル・グエラ(Raul Guerra)氏、そして日本で長年、アドベンチャーやスノーツーリズム、サーフィンなどのスポーツに携わってきたマイク・ハリス氏(キャニオンズ・最高リフレッシング責任者)が議論に加わる。

旅行ビジネスの中心ではないものの、その周りで起きているテクノロジーやトレンドに敏感であることも「WiTらしさ」を彩る要素の一つだろう。未来の消費者ニーズを知る手がかりとして、浅生氏が最近、注目しているのが家族・ペット型ロボット「LOVOT(ラボット)」だ。「実際に見ると、とにかく可愛くて、未来のライフスタイルを変える予感がある。旅行に連れていく人も出てくるのでは」(同氏)。今回、WiTのステージにも、登場するかもしれない。

日本からもっと多くのスタートアップを

WiT Japanのこれまでを振り返るセッションでは、過去にスタートアップ・ピッチに参戦し、ここから羽ばたいた経営者たちにスポットライトをあてる。登壇するのは、トリッピーズ(trippiece)を立ち上げ、現在はフード・ビジネス企業を率いる石田言氏や、ボヤジン(Voyagin)共同創業者であり、米国でも新事業を創業したトゥーシャ・カンデルワル(Tushar Khandelwal)氏など。次の時代を担う世代にとっても、起業家たちの貴重な体験談が聞ける機会になりそうだ。

毎年恒例のトラベル系起業家によるプレゼンも開催する。創業6年目までの事業者を対象とした「スタートアップ・ショーケース」、それ以降のフェーズに入った中堅事業者向けに2025年から新しく始まった「イノベーターズ・ピッチ」の2つを企画しており、いずれも挑戦者を募集中だ。「日本発のグローバルなスタートアップを増やすことは、国としての課題でもある。我こそはという人の応募を楽しみに待っているので、スタートアップや新規事業に取り組むみなさま、ぜひ手を挙げてほしい」と柴田氏は呼びかけた。

かつてはOTA関係者の参加が多かったWiTだが、「テクノロジーが当たり前のものになり、参加者も登壇者も、様々な専門領域へとすそ野が広がっている。今回、アウトドア・ファッションを手掛けるゴールドウィンの取締役常務執行役員・金田武朗氏が登壇するのも、その好例の一つ」(柴田氏)とし、「旅行・観光に関心ある方が、幅広い分野から集まり、次の20年に向けて一緒に考え、議論し、進んでいく」場とすることに意欲を示した。

浅生氏は「物理的に人がどう動くかだけでなく、心をどう動かすかをテーマにしてきた。だから、WiTには、多くの人に通じる話題があるのだと思う」と付け加える。「これまでを振り返ると、WiTで語られてきた未来像の多くが実現し、実際に世の中が変わってきた。実行する人たちが集まり、議論する場だからそうなるのだと思う。今回も、ここでしか聞けない話がたくさんあると思うので、絶対に、聞き逃さないで」と呼びかけた。

なお、WiT Japanでは、トラベルボイス読者限定で個人チケットが15%割引となるコードを用意している。

開催概要

※トラベルボイスはWiT Japanの公式メディアパートナーです。