オリックス・ホテルマネジメントは2026年7月3日、新たなホテルブランド「CROSS Suites(クロススイーツ)」の第1号店「クロススイーツ東京浅草」を開業する。既存ホテルをリノベーションしてバリューアップしたアパートメントタイプのホテルで、訪日客、若年層グループ、ファミリーなどの中長期滞在需要を取り込む。
※写真:「東京金魚スイートルーム」の室内(定員1~6名)
開業前の内覧会で、同社取締役社長の似内隆晃氏は、新ブランドの展開について「新築のみならず、今回のようなリノベーションや、賃貸住宅、オフィスなどからのコンバージョン(用途転換)など、柔軟な手法を検討していきたい」と語った。建築費が高騰する中、都市部の宿泊需要を踏まえて、新築に限らずリノベーションやコンバージョンでもブランド拡大を図る方針だ。
取締役社長の似内隆晃氏
都市部への中長期・多人数滞在をターゲットに
クロススイーツは、同社が展開する「クロス」ブランドの新たなカテゴリーに位置づけられる。「クロスホテル」は都市を楽しむ30代から50代の感度の高いアクティブな観光客、「クロスライフ」は自分らしくカジュアルに旅行を楽しむ若い世代を対象としてきた。これに対し、クロススイーツは「20代から40代の国内外のファミリーや友人グループでの中長期旅行」を想定する。
ブランドプロミスは「CROSS Paths, Share Stories」。総支配人の尾形塁氏は「クロススイーツは、ただ泊まる場所ではなく、思い出が生まれ、人と出会い、物語が始まる場所」と説明。ブランドコンセプトには「Live Life Local(地元流を楽しもう)」「Spark Encounters(もっと刺激的な出会い)」「Initiative Plus(ポジティブな世界)」を掲げ、地域、文化、人との接点を通じて、暮らすように旅をする滞在体験を打ち出す。
第1号店は、浅草寺をはじめ、主要観光スポットが徒歩圏の立地。ホテルでは、浅草の観光地巡りに加えて地域を地元流に楽しむ「浅草ネイバーズライフ」を提案する。また、東京観光だけでなく、日光方面への日帰りなど近郊観光の拠点としての機能も見込んでいる。
予約者の約9割が海外客、浅草らしい滞在を提供
客室は全78室。スタンダードルームからプレミアムスイートルームまで11タイプを用意する。2名から最大6名まで宿泊可能で、客室内には冷蔵庫、電子レンジなどを備える。館内にランドリールームも設置し、中長期滞在や多人数旅行でも生活機能を補える構成とした。
主力客室の一つは、最大3名で利用できるデラックストリプルルーム。より広いプレミアムスイートルームでは、ソファベッドを利用して最大6名まで宿泊できる。東京全体で宿泊料金が上昇するなか、複数人が1室で過ごせる快適性を打ち出し、ファミリーや友人グループの滞在需要に対応する。
特徴的な客室として、「浅草タタミルーム」と「東京金魚スイートルーム」も設けた。浅草タタミルームは、窓から浅草寺を望む客室で、畳のくつろぎスペースと布団で寝る体験を取り入れた。東京金魚スイートルームは、オリックスグループが運営する、すみだ水族館とのコラボレーションで誕生した。東京がかつて金魚の三大産地の一つだったことを踏まえ、浮世絵に描かれた金魚文化や、上から見て美しい「上見」、横から見て美しい「横見」といった見方の違いを室内デザインに反映した。
浅草の工芸やアートを随所に配した「浅草タタミルーム」(定員1~4名)
共用部の中心となるのは、宿泊者向けラウンジ「Hang Out @CROSS Suites」。パブリックキッチンとして、オーブントースター、電子レンジ、IHコーナーを備える。客室で過ごすだけでなく、ラウンジを使いながら、滞在中の自由度を高める。
開業前の予約状況は好調だという。開業目前の段階で、予約者の約9割が海外OTA経由の外国人旅行者。アジアでは特に台湾が多く、そのほか米国、カナダ、欧州など世界各地の旅行者から3〜4泊の宿泊を中心に予約が入っているという。