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観光庁、観光施設の料金改定で7事例を分析、円滑な導入に向けたプロセスとポイントを整理

観光庁は、「観光施設・サービス等の料金設定等に関する調査・研究会」のヒアリング結果を公表した。旺盛な観光需要を背景に、全国各地で観光資源の保全や混雑緩和のための財源確保を目的とした施設の利用料金の見直しの動きが広がるなか、管理者が主体的に料金設定をおこなう際の参考として全国の事例を分析した。その結果、施設料金には「混雑のコントロール」と「財源確保」という2つの重要な役割があることが確認された。

研究会がヒアリングをおこなった対象は駐車場、バス、文化施設、登山道など7事例。料金改定の契機は、観光客増加による追加コストへの対応や、市民利用とのすみ分けなど地域事情により様々だ。ヒアリング結果から、料金改定が成功するポイントとして、必要経費から逆算した根拠ある料金設定で納得感を得ることや、周辺住民等への丁寧な説明があげられた。また、十分な周知期間の確保や、実証実験の実施、さらにはDXによるオペレーション上の工夫も重要視されている。

対象の7事例、概要と成果

具体的な事例では、富士吉田市が新倉山浅間公園周辺の渋滞等に対処するため、駐車場を無料から1000円〜1500円に有料化した。これにより警備等の行政経費の約9割を利用料金で捻出可能になり、継続的な警備員配置を実現している。また、岐阜県白川村は物価高騰や渋滞対応の財源確保を目的に、普通車の駐車料金を1000円から2000円へ改定した。その結果、収益は前年度比193.5%となり、長年未着手であった駐車場の全面改修等に充当された。

バスに関する事例では、京都市交通局が市民と観光客の利用をすみ分けるため、一般系統が230円のところ、運賃500円の「観光特急バス」を導入した。これは一般系統の混雑改善に寄与するとともに、特急バス自体も黒字を維持している。尾花沢市は銀山温泉の冬期の渋滞解消に向け、シャトルバスに500円から1000円の時間帯別運賃を導入した。需要分散への効果は限定的であったものの、増収分を活用してバスを増車し、運行体制の強化へと繋げている。

文化施設においては、姫路市が姫路城の維持管理費を確保するため、市外客(大人)の料金を1000円から2500円に改定する一方、市民は1000円に据え置く「市民料金」を導入した。大きなトラブルなく運用されており、収入は約2倍に増加した。東京国立博物館は、来館者サービスの向上を掲げる「トーハク新時代プラン」に基づき、一般入館料を620円から1000円に改定し、増収分を多言語対応や新感覚の展示拡大に投資した。

さらに登下山道の事例として、山梨県は富士登山のマナー悪化防止と安全確保のため、吉田口ルートに4000円(2025年度実績)の使用料を導入した。これにより弾丸登山者が大幅に減少し、施設の維持管理や安全対策費用の89%を賄うことが可能となった。

円滑な料金改定のポイント

研究会では、円滑な料金改定には、検討開始から導入後の効果検証までを見通したプロセス設計が重要だと整理した。

姫路城の事例では、今後10年間の事業費を約280億円と具体的に積算し、入城者数の見込みで割り戻して一人あたり約2500円という根拠ある新料金を算出した。同時に、市民については税負担等を考慮して料金を据え置き、公平性を担保している。手続きにおいても、施行の1年前には条例を改正し、パブリックコメントや段階的な市議会への報告、近隣住民への説明を尽くすなど、地域社会の理解を得るための丁寧な導入プロセスを実践している。

山形県尾花沢市(銀山温泉)のシャトルバスの事例では、冬期の深刻な交通渋滞によって緊急車両の通行が妨げられるなどの課題が生じており、料金設定の主眼は財源確保よりも過度な混雑の緩和にあった。そのため、まずはマイカーからシャトルバスへ乗り換えるパークアンドライドの実証実験を実施し、現場での検証を伴う段階的なプロセスを踏んだ。

料金設定においては、貸切バスが多く到着する9時〜11時や、夕暮れの景色を目当てに観光客が集中する14時〜18時の運賃を、ベースの500円から800円、1000円へと引き上げる「時間帯別運賃」を採用し、需要の分散に直接的にアプローチした。合意形成のプロセスでは、市・県・国、交通・宿泊事業者、住民代表などが集う協議会を発足させた。結果として時間帯別運賃による需要分散の効果は限定的であったものの、実証実験を通じて得られた増収分を活用してバスを増車し、地域住民の満足度向上にもつながった。

今後、観光庁は持続可能な観光地域づくりを実現するために、各地の施設管理者や地域の議論に役立つ情報を提供するために、引き続き事例の収集と分析を継続していく方針だ。

観光庁:ヒアリング結果のポイント