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オーストラリア政府観光局、日本市場の成長に手ごたえ、2035年戦略でAIに選ばれる観光マーケティングを推進

オーストラリア政府観光局(TA)は、東京でBtoB商談会「Australia Marketplace Japan & Korea 2026」を開催した。オーストラリアから63社のセラー、日本と韓国からあわせて66社・部署のバイヤーが参加し、4200件以上の商談を実施。日本からは39社・部署、49人のバイヤーが参加した。

同局グローバル・マーケット担当エグゼクティブ・ゼネラルマネージャーのキャサリン・オブライエン氏(写真左)は、「日本の重要なパートナーとの関係を強化するうえで、極めて重要なBtoBプラットフォームだ」と説明。日本の旅行会社についても「すでに見えている成長をさらに伸ばそうという意欲が非常に強い」と手応えを示した。

日本人訪問者12.7%増、2029年68万人も視野

日本市場は回復基調が続く。日本・韓国地区局長のデレック・ベインズ氏(写真右)によると、2026年6月までの1年間の日本人訪問者数は44万7600人で、前年同期比12.7%増。2026年3月までの1年間の旅行消費額は23億豪ドル(約2622億円)で、同10%増となった。円安の影響が続く一方、特に20代女性の回復力が高いという。

オブライエン氏は、2032年ブリスベン・オリンピック・パラリンピックまでをナショナルカラーである緑と金にちなみ「Green and Gold Decade」と位置づけていることを紹介。ラグビーW杯をはじめとする大型スポーツイベントを、旅行需要の喚起と地方周遊を促す機会として活用していく方針を示した。 2027年の男子ラグビーW杯に関連して、JTBとの共同プロモーションも開始している。

また、航空路線では、ANAが10月に東京/パース線を週3便から毎日運航へ、カンタス航空が12月に東京/メルボルン線を週7便から11便へ増便する。

同局では、2029年の日本人訪問者数について68万人まで拡大する可能性を示していた。こうした動向を踏まえて、ベインズ氏は「4年間で約40%、年平均で10%程度の伸びを継続できれば、68万人の達成は可能だと思う」との考えを示した。

今後、消費者向けでは、グローバルブランドキャンペーン「『グッデイ!』ではじめよう、オーストラリア」(英語では「Come and Say G’day」)キャンペーンを継続展開する。また、2027年1月放送予定のBSテレ東「ワカコ酒 Season10」では、ゴールドコーストがシリーズ初の海外ロケ地となり、現地の食やワイン、ライフスタイルを発信する。

また、主要旅行会社との共同販促や旅行会社向け教育プログラム「オージー・スペシャリスト・プログラム(ASP)」を強化するほか、高消費額旅行者(High Yield Traveller:HYT)への訴求を進める。

日本・韓国からのバイヤーがオーストラリアから来日したセラーと熱心な商談会を実施した

「Tourism 2035」、4つの重点方針、AIに「見つけてもらう」

こうした取り組みを中長期で方向づけるのが、TAの10年間の長期戦略「Tourism 2035」だ。「オーストラリアを、すべての旅行者が最初に夢見て、最終的に選ぶ旅行先にする」ことを掲げ、高消費額旅行者による消費額を2035年までに最大690億豪ドル(約7兆8660億円)へ引き上げることを目指す。

重点方針は4つ。第一に、人へのストーリーテリングに加え、AIや検索アルゴリズムにもオーストラリアが旅行先として適切に認識・推奨されるマーケティングを進める。

第二に、ビーチや野生動物だけでなく、食やワイン、都市、6万5000年の歴史を持つ先住民文化まで、多様な旅行体験を発信する。第三に、ラグビーW杯など大型イベントを起点に、旅行者を開催都市から地方へ広げる。そして第四に、自然との深いつながりや希少で意味のある体験を軸に、オーストラリア独自のラグジュリーを打ち出す。

なかでもTAが重視するのが、AIを前提としたマーケティングへの対応だ。ベインズ氏によると、本局では専門チームが取り組みを進めており、AIごとにアルゴリズムが異なり、「毎週のように変わっている」なかで、自らの情報をAIにどう発見、認識してもらうかが大きなテーマになっていることを明かした。

その具体策の一つが、新たに開設したInstagramアカウント「@australia.guides」だ。メインアカウント「@australia」が旅への動機づけとなる「Why」を担うのに対し、新アカウントはモデル日程や具体的な旅行計画など「How」に特化する。

ベインズ氏は「AIがコンテンツを見る方法が変わったため、戦略として分けることにした」と説明した。

オーストラリア政府観光局のAIに対応するためのアカウント

一方、AI時代の旅行会社には、「トラベルエキスパート」として培ってきた専門性との両立を期待する。ベインズ氏は、「技術を取り入れながら、旅行会社が持つ顧客理解とカスタマーサービスという競争優位を維持し、さらに高めていけるか。それをどう両立させるかが重要だ」と話した。

オブライエン氏も、現地の観光事業者に対してAI対応の教育を進めていると説明。「旅行者が体験やサービス、商品を探す場所に、自分たちの商品がきちんと現れるよう、AI-ready(AIに適切に認識・表示される状態)になる必要がある」とした。

※豪ドル円換算は、1豪ドル114円でトラベルボイス編集部が算出