2027年3月19日に横浜市で開幕する「GREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)」の開催半年前を迎え、2027年国際園芸博覧会協会は記者発表会を開催し、最新の展示やイベント内容を発表した。会期は2027年9月26日までの192日間。横浜市瀬谷区・旭区の旧上瀬谷通信施設を会場に、「幸せを創る明日の風景」をテーマとして開催する。有料来場者数1000万人以上を見込む。
協会の筒井義信会長は、75を超える国・国際機関、全都道府県、500を超える企業・団体の参加が決まったと説明。「単に花と緑を楽しむだけの博覧会ではない。自然の力を通じて、人と人、人と自然、そして地球との新たなつながりを育み、持続可能で心豊かな未来の姿を世界に発信する場」とアピールした。
今回、新たに協会が運営する主要3施設の愛称も決定した。植物を中心とした生命のつながりを伝えるテーマ館は「ねっこ」、日本独自の園芸文化の歴史や美意識を紹介する園芸文化館は「いろはにわ」、世界各地の花や緑を季節ごとに展示する屋内出展施設は「はなめぐり」。また、会期中のイベント第1弾として、ナショナルデー・スペシャルデーや全国各地の祭り、スポーツ、食・農、エンターテインメントなどの開催内容も明らかにした。
学び、ビジネス、日本の文化・技術発信の場として期待
政府関係者からは、博覧会を持続可能な社会のモデルを世界に示す機会として期待を寄せる発言が相次いだ。
ビデオメッセージでコメントを寄せた高市早苗首相は、人と自然が共生する持続可能な社会の日本モデルとともに、脱炭素、生物多様性の回復、循環型経済を国内外に発信する重要な機会と説明。子どもや若い世代にとっても学びの場になるとして、「修学旅行や校外学習などの機会を通じて、エキスポを楽しみながら学ぶものにしてみてはいかがでしょうか」と呼びかけた。
高市早苗首相国土交通省の金子恭之大臣は、7月に予定する「グリーンテック集中見本市」を例に挙げ、脱炭素など地球規模課題の解決につながる最先端技術を発信するだけでなく、「ビジネスマッチングの場としての期待も高まる」と話した。農林水産省の鈴木憲和大臣は、伝統的な食文化、生け花、初公開となる盆栽に加え、植物工場や陸上養殖などが展示されることから「我が国が自然との調和の中で育んできた文化や技術を世界に発信するショーケース」と期待をかけた。
経済産業省の井野俊郎副大臣も、脱炭素などの地球環境問題の解決に資する日本の技術を世界に発信する場であるとし、会期中には水素技術に関するイベントや、日本の伝統的な技術・文化の情報発信を企画することを紹介した。
開催地の横浜市は、市民や企業とともにつくる博覧会を打ち出す。平原敏英副市長は、市出展エリアのボランティア募集で、1000人の募集に対して1万3000件を超える応募があったと紹介。「市民をはじめ、多くの方々の高い参加意欲に、EXPOへの大きな期待を感じている」と話した。市では、企業と連携し、資源循環やCO2活用などを含む脱炭素技術の展示も準備する。
神奈川県は、県独自の参加型企画を展開する。会期中には、環境問題をテーマとするオリジナルミュージカルを公演する予定で、主題歌に合わせた「踊ってみた動画」を募集。黒岩知事は、投稿された動画の一部を本番の演出にも活用し、来場者が会場で一緒に踊る流れをつくりたいとの考えを示した。
59カ国・機関がナショナルデー、全国の祭りやスポーツも
記者会見では、最新情報も発表された。
会期中、会場内では192日間を通じて季節ごとの花を楽しめるようにする。3月にはソメイヨシノ、エドヒガン、オカメザクラ、ヨコハマヒザクラなど40品種600本の桜が来場者を迎える。その後、初夏にはユリやアジサイ、夏には多彩なヒマワリ、秋にはキキョウなどが見頃を迎え、会期を通して異なる景観を見せる計画だ。
テーマ館「ねっこ」では、「全ての生命はつながっている。植物を中心に」をコンセプトに、植物の能力や生命同士のつながりを科学的知見に基づいて紹介する。プロジェクションマッピングや映像、実物展示などを組み合わせ、植物と菌類の地下ネットワーク、植物が他の生物とやり取りする情報、人間活動と地球環境との関係などを体験型で伝える。
国際博覧会を象徴するナショナルデー・スペシャルデーは、現時点で59カ国・機関の日程が決定。公式参加者の文化への理解を深め、国際親善につなげる。イベント全体では、花や緑だけでなく、食・農、音楽、スポーツ、観光、物産展などを展開する。
日本各地の文化を世界へ発信する「おまつり歳時記プロジェクト」では、青森ねぶたを常設展示するほか、各地域の祭りや伝統芸能団体と連携。自治体催事では「泉佐野だんじりフェスティバル」なども予定している。芝生広場を生かしたスポーツ体験、トップアスリートや競技団体と連携したステージやワークショップも展開する。
国際出展には70を超える国・国際機関が参加を表明している。イタリアのマリオ・アンドレア・ヴァッターニ駐日大使はイタリア・パビリオンを紹介。干し草や小麦から着想した建築とし、日伊両国を結ぶ小麦の歴史も表現する。また、サーキュラーエコノミーの考え方を取り入れ、大阪・関西万博のイタリア館で使用した要素を横浜でも再活用する計画で、屋上に設けられたイタリアンガーデンなどを引き継ぐ。
園芸文化館の花屋敷入口イメージ(提供:GREEN×EXPO協会)
観光・交通各社も誘客を後押し
開催機運を高める取り組みとして、毎月19日を公式マスコットキャラクター「トゥンクトゥンクの日」とすることも決まった。SNSを起点に、投稿企画や開幕が待ち遠しくなる情報を発信し、開幕前から会期中まで継続して盛り上げる。
観光・交通分野の企業も協賛を通じて誘客や認知拡大を支援する。プラチナパートナーとして参画するHISはウェブサイトやSNSなど複数チャネルによる包括的なプロモーション、JTBは全国255店舗でポスター、パンフレット、デジタルサイネージなどを活用したPRを実施する。京浜急行電鉄は羽田空港や横浜、三浦半島エリアを中心とする交通広告、JR東日本グループは新幹線2編成のラッピング車両や東京駅のカウントダウンボードなどを展開する。
ゴールドパートナーの日本航空(JAL)は特別塗装機や機内、特設ウェブサイトで情報を発信するほか、会場運営スタッフへの研修にも協力する。東急グループは特別企画列車による魅力発信、JR東海は東海道新幹線「のぞみ」停車駅のホームドア広告などを通じ、関西・東海圏にも訴求する。
開幕まで半年、花や緑を起点に、学び、文化、ビジネス、観光まで多様な分野をつなぐ博覧会として、国内外からの誘客と開催機運の醸成が本格化していく。
観光関連からも多くの企業がパートナーとして参画する