日本生産性本部は2026年10月27日、「レジャー白書2026」の発表会を開催した。2025年の余暇関連市場規模は前年比3.9%増の78兆1320億円で、コロナ禍前の2019年を8.1%上回った。音楽ライブやスポーツ観戦など、その場でしか味わえない体験の価値が高まり、「推し活」やゲーム・アニメなどのIPを活用した展開が消費を後押し。コロナ禍で加速したデジタル配信の拡大も続き、リアルとオンラインの双方で市場が成長している。
同白書は、余暇活動への参加実態に関するアンケートと、各業界の市場分析をもとに、余暇の実態を需給両面からまとめたもの。1977年の創刊から通算50号となり、10月30日に発行する。発表会では、共同執筆者である桜美林大学 ビジネスマネジメント学群・大学院の下島康史教授と川﨑友加准教授らが市場の伸びを支える消費の変化を解説した。
余暇活動の参加人口では、「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」が前年比70万人減の4610万人となったものの、4年連続で首位となった。2位は「外食(日常的なものは除く)」で、370万人増の3820万人。以下、「動画鑑賞」が3520万人、「音楽鑑賞」が3350万人、「映画(テレビは除く)」が3260万人と続いた。上位20種目のうち8種目で参加人口が増加し、外食や映画などの伸びが目立った。
音楽コンサートは過去最大、スポーツ観戦も3.3%増
2025年は、スポーツ、趣味・創作、娯楽、観光・行楽の全4部門で前年実績とコロナ禍前の水準を上回った。下島教授は、市場拡大の背景として、物価高騰に伴う価格転嫁に加え、サービスの高付加価値化、ネット利用の定着、音楽ライブやアリーナ観戦などのリアル体験、推し活の消費を挙げた。
観光・行楽部門は前年比4.0%増の約12.9兆円に拡大し、2019年比では11.8%増となった。大阪・関西万博による旅行需要と好調なインバウンドが支え、ホテルや遊園地・テーマパークなどが伸びた。一方、物価高の影響もあり、国内旅行の伸びは限定的で、旅館は減少した。
音楽や映画などを含む趣味・創作部門は、前年比0.9%増の約7.9兆円規模。音楽コンサートは過去最大規模となり、映画と演芸も2桁成長した。
川﨑准教授は、音楽コンサートの市場拡大について、公演数そのものの増加ではなく、動員数の増加とチケット単価の上昇が成長をけん引していると説明。大規模なアリーナ公演や推し活の熱量が市場を支えており、「今しか、その場でしか味わえない」というライブ感のある体験の価値が高まっているとした。
スポーツ部門も前年比1.3%増と回復傾向が続いた。なかでもスポーツ観戦料は3.3%増。発表会では、年間動員数が過去最高を記録し、アリーナでの体験の高度化など、「見るスポーツ」のビジネスモデルの進化が成長につながっているとの分析が示された。
体を動かす分野では、フィットネスクラブが5.5%増、ゴルフ練習場が6.5%増。フィットネスクラブでは、小型施設や特定のニーズに対応する施設などへの展開が進み、ゴルフ練習場ではインドア施設が成長を支えた。一方、ゴルフ場の売上高は前年並みで、猛暑や豪雨の影響への対応も課題となっている。
推し活は若年層の4割超、IP展開が消費を広げる
推し活は、音楽ライブやアニメ映画などの消費を支える要素となっている。川﨑准教授は、ライブとグッズ販売が一体化し、総合的な消費の拡大に貢献していると説明。ゲームやアニメなどのIPコンテンツを多様な商品・サービスへ展開する動きや、コラボレーションも定着しているとした。
娯楽部門全体は前年比4.6%増。テレビゲーム・ゲームソフトが新世代ハードや人気IPによって大きく伸びたと分析している。テレビゲームの伸び率は38.8%増となり、市場のなかでも高い成長だった。
今回、2025年に推し活の状況について特別調査をおこなった。結果によると、推し活をおこなった人は全体の23.6%。年代別では10代が47.7%、20代が45.0%と4割を超え、30代は28.3%、40代は25.2%、50代は20.0%だった。性別では男性18.0%に対して女性29.1%と、女性の割合が高かった。
推し活で参考にした情報源は、公式サイト・公式SNS・公式アプリが55.3%、SNS・ファンコミュニティが51.8%。公式情報とファン同士の情報交換が、活動にあたっての主要な情報源となっている。
なお、調査対象は15~79歳の男女3279人。推し活の定義は設けず、回答者自身の認識に委ねている。
コロナ禍で広がった配信も成長
ライブ体験の市場拡大と並行して、デジタル分野の成長も続いている。趣味・創作部門では、有料動画配信、音楽配信、電子出版がいずれも拡大。川﨑准教授は、コロナ禍で加速したレジャーのネット化・デジタル化が、その後も成長していると説明した。
動画関連では、映画や有料動画配信が伸び、コンテンツ関連の市場全体を支えた。音楽では配信の拡大とともにコンサート市場も成長。参加実態調査でも、配信、CD、レコードなどを含む音楽鑑賞の参加人口は3350万人と前年から増え、余暇活動の4位となった。
なお、同白書の市場規模は名目値で、物価変動の影響を除いた実質値ではない。2025年の市場拡大には、動員や消費の増加に加え、チケットやサービスの単価上昇も影響している。