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GREEN×EXPO 2027を契機に日タイの観光交流をどう広げるか、横浜の誘客戦略と開催後に残す価値を議論 ―TEJ2026シンポジウム

2027年の国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」を、横浜への訪日客誘致や観光交流の拡大にどうつなげるか。ツーリズムEXPO2026の会場で開かれたインバウンドをテーマとしたシンポジウムでは、博覧会の概要と横浜の戦略が紹介された。続くパネルディスカッションでは、2029年に国際園芸博覧会を開催するタイとの双方向交流を議論。食や教育、スポーツなどを接点に、博覧会の開催後にもつながる交流の可能性を探った。

GREEN×EXPO 2027は、2027年3月19日から9月26日までの192日間、横浜市の旧上瀬谷通信施設の跡地で開催される。2027年国際園芸博覧会協会は、季節ごとの花や緑に加え、日本の園芸文化や企業による未来の社会の提案など、多様な展示を紹介。会場に直結する鉄道駅がないことから、旅行会社やバス会社に団体バスを活用した商品造成も呼びかけた。

横浜の観光戦略、園芸博と夜景・食を組み合わせて宿泊へ

横浜市観光協会の河東宗平氏は、横浜の課題として、増加する訪日需要を市内宿泊に十分取り込めていない点を挙げた。同氏によると、2025年の外国人延べ宿泊者数は約96万9000人泊で、前年比2.9%増。全国の伸び率9.4%を下回った。外国人クルーズ乗船客への独自調査でも、9割以上が前泊していたものの、宿泊先は東京が約58%、横浜は36%だった。

園芸博に向けては、上瀬谷の会場と都心臨海部の相互送客により、観光消費額の最大化を目指す。対象は花や緑に関心のある層に限定しない。タイ市場向けの独自調査では、園芸博が訪日の主目的になるとの回答は12%だった一方、他の観光と組み合わせるなら行きたいとの回答が73%に達した。

この結果を踏まえ、インバウンド向けに食やクラフトビール、夜景、アートなどと園芸博を組み合わせて訴求する。入場券と宿泊などを組み合わせた商品も調整。日中に園芸博を訪れた後、都心臨海部で夜も楽しみ、横浜に泊まる流れをつくる考えだ。

旅行前の情報発信に加え、東京など首都圏に滞在中の外国人旅行者にもOTAなどを通じて働きかけ、当日や翌日の来訪を促す。地域では「花のみなと」を合言葉に、花や緑を取り入れた観光体験を展開。河東氏は「来場者数に加え、地域にどののような価値を残せたのか」を見据え、開催後も続くコンテンツを育てる考えを示した。

日タイ交流、食・教育・スポーツを接点に

続くパネルディスカッションでは、日本政府観光局(JNTO)理事(当時)の若松務氏による進行のもと、2027年国際園芸博覧会協会プロモーション企画課の課長、多田有紀彦氏、横浜市観光協会の河東氏、タイ国政府観光庁東京事務所の藤村喜章氏が、日タイの双方向交流を議論した。横浜の園芸博に続き、2029年にはタイのコラートで国際園芸博覧会が予定されている。

藤村氏は、タイの観光戦略について、旅行者数だけでなく、旅行を通じて提供する価値を重視する方針を説明。有意義な体験を提供するとともに、バンコク以外の地域にも足を運んでもらい、食やファッション、ライフスタイルなどの「タイらしさ」を伝える考えを紹介した。ウェルネスも継続して取り組むテーマに挙げた。

日タイの交流では、ガストロノミー、教育、スポーツ、アート・文化、祭りなどを接点とする。食については、現地にはタイ料理だけでなく日本食や中華などの多様性があり、ミシュラン掲載店からストリートフードまで幅広い選択肢があることが強みだ。

教育では、若い世代にタイを訪れてもらい、現地の学生との交流につなげる。スポーツでは、ゴルフやサッカー、バレーボールなどの盛り上がりや、日本で活躍するタイ人選手の存在にも言及。観光地の訪問にとどまらない、共通の関心を通じた交流の可能性を示した。

横浜側もタイ市場への働きかけを進める。河東氏は、旅行商談会や体験予約プラットフォームを通じた施策に加え、博覧会協会と連携した現地プロモーションを調整していると紹介。自身がタイに勤務していた経験から、桜などの花への関心の高さを実感しているという。

一方、実際に花が咲いた会場の様子を開催前に伝えることには難しさもある。このため、開幕後に写真や動画を撮影し、インフルエンサーなどと連携してリアルタイムで発信する準備を進める。

左から:横浜市観光協会の河東氏、タイ国政府観光庁東京事務所の藤村喜章氏

2029年のコラートへ、地域観光と開催後の価値をつなぐ

藤村氏は、2029年の開催地となるコラートを、タイ東北部の玄関口として紹介。東北部には他の地域とは異なる文化が残り、地域ならではの食も楽しめる。周辺には自然や遺跡、マーケット、ワイナリー、リゾートなどがあり、園芸博と組み合わせて旅行できる観光資源がそろうという。

開催地となった背景には、MICEを通じた経済活性化の視点もあるという。アクセスの改善とともに、園芸博によって地域を知ってもらい、周辺の観光施設の利用につなげる。藤村氏は、こうした取り組みをタイの地方創生の一つとして位置付けた。

これを受け、JNTO側は、タイからのMICE誘致では、視察や企業訪問など知的好奇心を満たす体験が訪問先選びの重要な要素になると紹介。MICEやガストロノミーなど、両国が重視するテーマを重ねることで、相互交流を広げる可能性に言及した。

河東氏は、横浜が東京と同じことをするのではなく、自らの強みを生かす必要性を指摘。タイのウェルネスやガストロノミーの取り組みについて、横浜としても先行事例から学びたいと述べた。多田氏からは、園芸博の会期中だけでなく、冬の雪なども含め、日本を年間を通じて楽しめる旅行先として伝える視点が示された。

最後に藤村氏は、まず横浜の園芸博でタイの展示に触れ、2029年には実際にタイを訪れてほしいと呼びかけた。教育やスポーツなどでも横浜と協力する意向を表明。河東氏も、園芸博の成功に加え、地域や今回つながった関係者とともに、開催後に残す価値をつくる考えを示した。

左から:日本政府観光局理事(当時)の若松務氏、2027年国際園芸博覧会協会プロモーション企画課の課長、多田有紀彦氏