2014年の国際線事情、羽田発着枠拡大で変わる方面別の路線展開まとめ

2014年夏期スケジュール(首都圏発着)

羽田国際線で新規就航が続々、競争激化の路線とは?

2014年夏スケジュールから、羽田空港の昼間時間帯の国際線発着枠が1日80便、従来の1.5倍に拡大される。日系航空会社だけでなく、外航も大きなビジネスチャンスととらえ、野心的な路線展開をはかる。羽田と、その影響を受ける成田からの新たな国際路線について方面別でまとめてみた。


▼アジア方面 : 羽田から新たに4都市に新規就航

供給量の大幅増加で競合激化の路線も

最も多く新規路線を開設するのは、新たに昼間時間帯11枠を配分されたANA(NH)。アジア方面では、ハノイ線、ジャカルタ線、マニラ線にそれぞれ新規就航するほか、シンガポール線とバンコク線については、従来の深夜早朝時間帯便に加えて、新たに昼間時間帯でもデイリー運航を追加する一方、成田線については、それぞれ1日1便に減便する。
昼間時間帯で5枠の配分にとどまったJAL(JL)のアジア新規路線は深夜早朝時間帯でのホーチミン線のみ。ANAと同様に、シンガポール線とバンコク線で昼間時間帯を加え、それぞれ1日2便に増便する代わりに、成田線ではそれぞれ1日1便に減便し、供給を調整する。

東京/シンガポール、バンコク線の供給量が大幅増加

シンガポール航空(SQ)は、既存の深夜早朝時間帯2便のほかに、羽田17:05発で昼間便を追加。羽田/シンガポール線を1日3便に増便するほか、1日2便の成田/シンガポール線を維持することで、SQの東京線は1日5便になる。これにより、3社の東京/シンガポール線の供給量は1日11便に増加。このほか、デルタ航空(DL)、ユナイテッド航空(UA)、LCCのスクートも運航しているほか、SQは成田線のSQ11/12便でA380運航も続けることから、大幅に供給量が増えることになる。バンコク線についても、タイ国際航空(TG)は、羽田/バンコク線で昼間便を加え1日2便体制にするほか、成田/バンコク線も1日3便を維持することで、東京/バンコク線を1日5便に強化。JAL、ANAと合わせ、1日11便に供給量が拡大する。シンガポール線と同様に、デルタ航空も1日1便運航していることから、さらに競合が激しくなる(ユナイテッド航空は3月29日から運休)。

さらに、ベトナム航空(VN)は、7月1日から羽田/ハノイ線に昼間時間帯枠を利用しデイリー運航で新規就航。7月2日からは成田/ダナン線に週4便で就航する。これにより、ANA、JAL、VN合わせて、7月以降の東京/ベトナム線は、ハノイ週28便、ホーチミン週35便(VNは3月30日から6月30日まで成田/ホーチミン線を一時的に週12便に減便)、ダナン線週4便と大幅に拡大される。

この他の路線では、ガルーダ・インドネシア航空(GA)が6月16日から深夜早朝時間帯で羽田/ジャカルタ線の運航を開始するとともに、現在深夜早朝時間帯で運航している羽田/デンパサール線を昼間時間帯に移す。また、フィリピン航空(PR)は、新たに羽田/マニラ線に1日2便で就航する(1日1便は深夜早朝時間帯)。


▼ヨーロッパ方面:日系エアライン、羽田線拡大し、成田線は縮小へ

東京/ドイツ線の路線網が大幅強化、東京/ロンドンは毎日3便に

ヨーロッパへのネットワークも大幅に拡大する。まず、ANAは羽田からロンドン、パリ、ミュンヘンにデイリー運航で新規就航。フランクフルト線は、従来の深夜早朝時間帯便に加え、昼間時間帯便で新規に設定し、1日2便にする。羽田路線の拡大にともない、成田/ロンドン線と成田/フランクフルト線は運休。また、成田/ミュンヘン線を成田/デュッセルドルフ線に区間変更し、ドイツ路線の利便性をさらに高める。

ANAとジョイントベンチャー(共同事業)を進めているルフトハンザ航空(LH)は、昼間時間帯で羽田/フランクフルト線とミュンヘン線に新規就航する。成田線については、今年7月20日までは現行の成田/関西/フランクフルト線を維持。7月21日からは、それぞれ成田と関西からの直行便に切り替える。これにより、LHの中部を含めた日本路線5路線はすべて直行便になる。

ANAと合わせると、スターアライアンスの東京/ドイツ線は1日7便になり、路線網は大幅に強化される。

JALは、昼間時間帯で羽田/ロンドン線にデイリーで新規就航。代わりに、成田/ロンドン線を運休する。パリ線については、羽田では現行の深夜早朝時間帯から昼間時間帯へ発着時刻を変更し、成田発も現行の午前便から午後便に変更し、利便性を高める。

日本航空とジョイントベンチャーを組むブリティッシュ・エアウェイズ(BA)は、羽田/ロンドン線を昼間時間帯に移行させるほか、現行の週5便から週7便に増便。また、週7便の成田/ロンドン線も維持する。なお、羽田/ロンドン線の増便時期は当初予定の5月6日から4月10日に前倒しされた。


エールフランス(AF)は、羽田/パリ線に朝便と夜便の1日2便で新規就航。現在JALの深夜便とコードシェアをしているが、夏期スケジュールでは自社運航で羽田に乗り入れる。成田線については、夜便を運休し、昼便の1日1便を残す。

▼北米方面:カナダ線で供給拡大

羽田深夜枠はユナイテッド航空に暫定承認

北米路線では、ANAが羽田/バンクーバー線にデイリー運航で新規就航。また、エアカナダ(AC)が7月2日から羽田/トロント線にデイリー運航で新規就航する。エア・カナダはは現行の成田/トロント線、カルガリー線、バンクーバー線は維持。カルガリー線については5月2日から夏期スケジュールの間デイリー運航に増便する。

羽田/米国線については、日米航空交渉がまだ合意に至っていないため、今年夏期スケジュールでの昼間時間帯での新規就航はない。深夜早朝時間帯では、アメリカン航空(AA)の羽田/ニューヨーク線運休を受けて、米運輸省は2月下旬に、新たにユナイテッド航空(UA)の羽田/サンフランシスコ線就航を暫定的に承認した。正式に承認されれば、UAは初の羽田就航として夏期スケジュールから運航を開始する予定だ。

また、成田では、JALがニューヨーク線を現行の週7便から週14便に増便する。


▼中東方面:カタール航空が羽田に新規就航

カタール航空(QR)が6月18日から深夜早朝時間帯で羽田/ドーハ線にデイリー運航で就航する。QRは2005年3月から関西、2010年4月から成田乗り入れており、羽田は日本で3番目の就航地。中東のエアラインでは、エミレーツ航空(EK)に続く羽田乗り入れとなる。

記事:トラベル・ジャーナリスト 山田友樹

(2014年3月10日現在発表された情報をもとに作成)

参考記事>>>

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