欧州内を自由往来できる協定に東欧2カ国が加盟、ルーマニアとブルガリア、空路・海路で出入国検査が不要に

ルーマニアとブルガリアが、シェンゲン協定に部分的に加わることになった。これによって、両国は欧州連合(EU)への統合に向けて新たな一歩を踏み出したことになる。空路と海路での両国への出入国で身分証の提示は必要なくなった。しかし、不法移民の流入を懸念する反対もあり、陸路では出入国検査は引き続き実施される。

シェンゲン圏は1985年に設立。ルーマニアとブルガリアに加盟前は、EU加盟国27か国のうち23か国とスイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインで構成されていた。1日約350万人が圏内を往来している。

ルーマニアののマルセル・シオラク首相は、これはルーマニアにとって「当然の成果。旅行が容易になり国民に利益をもたらし、経済を活性化させるだろう」と述べる一方、「政府としては、年末までにシェンゲン圏への完全加盟に向けた確固たる計画がある」と付け加えた。

ブルガリアのカリン・ストヤノフ内務大臣は、「完全加盟は2024年末までに実現するだろう」との見通しを示し、「不法移民に対して、ブルガリアを通って欧州に行くことはできないというメッセージを伝え続ける」と述べた。

全便の70%を占める首都ソフィアの空港を含めて4つの国際空港での2023年の旅客数は約1100万人。シェンゲン協定加盟によって空港運営が容易になると期待されている。ブルガリアの航空会社団体によると、遅延によって毎年数千万ユーロの損失が発生しているという。

規制緩和は観光面で大きな恩恵をもたらすと予想される一方、陸上国境での保安検査には長蛇の列ができ、EU単一市場として貿易などに影響が出るとの懸念もある。

※本記事は、AP通信との正規契約に基づいて翻訳し、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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