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エクスペディアが会員プログラムを開始、+αの「ポイント」と「ステータス」、ランクに応じた特典も

エクスペディア・ジャパンは2015年6月2日から、独自のロイヤリティプログラム「Expedia +」を開始した。既にアメリカやカナダなど、エクスペディアの展開が先行する6市場で実施しているが、アジアでの導入は日本が初めて。

マーケティングディレクターの木村奈津子氏によると、エクスペディア・ジャパンではこれまで「ブランディング強化」と「新規顧客獲得」の2点に注力して事業を展開してきた。しかし、2014年11月に日本展開8周年を迎え、今年にリピート率が36%に達したことから、「ロイヤリティに本腰を入れる必要性を感じていた」という。

「Expedia +」は予約実績に応じて加算する「ポイントプログラム」と、年間の宿泊数や利用金額に応じて授与する「ステータスプログラム」の2つで構成。ステータスプログラムでは3つの会員ランクごとに特典を設定する。ロイヤリティプログラムの施策が業界内外で広がるなか、木村氏は「ポイント加算による価格合戦ではなく、“価格+アルファ”の付加価値の提供に力を入れる。次の旅行をより良いものにする旅行に絞ったサービス」と、エクスペディアの施策の違いを強調する。

特に特徴的なのが、提携ホテルがVIPサービスを提供する「VIP Access提携ホテル」の特典プログラム。帝国ホテルやザ・ペニンシュラ東京、セルリアンタワー東急ホテルなど高級ホテルを中心に、会員ランクに応じてポイント換算倍増や宿泊時に朝食やスパの無料、空室時の客室アップグレードなどの特典を提供する。旅行会社のロイヤリティプログラムで、国内のみならず海外のホテルと提携してVIPサービスを提供するのは、日本ではエクスペディア・ジャパンが初めてだという。

発表資料より

ポイントプログラムの原資はエクスペディアの負担だが、VIP Accessの特典はホテル側が提供する。木村氏は「“旅行好きで、旅行の頻度が多い”エクスペディアの優良顧客をホテルに取り込む機会を提供できる」と、ホテルの参画メリットを強調。現在は日本で7軒、海外は1500軒の参画だが、年内に1900軒に広げ、「今後も倍々で増やしていく」予定。「グローバルで展開するエクスペディアだからこそできる施策。予約機会が増えれば、参画ホテルが増える。良いシナジーとデマンドが期待できる」と自信を見せた。

「Expedia +」は月内にも香港、シンガポールで始め、年内にはアジア9か国、全世界31か国中28か国でローンチすることが決定している。木村氏は、予約サイトやメタサーチなどの競争が激化するオンライン旅行業界において「消費者の志向が価格に向いていることも確か」としつつ、「“最低価格保証”で価格とコストパフォーマンスを抑えた上で、プラスアルファのサービスを提供していかなければ、今後の成長はない」との見解も述べた。

なお、エクスペディア・アジア地域CEOキャスリーン・タン氏は日本でのサービス開始にあたり、「特に質を求める傾向の強い日本人旅行者にとって有意義なサービスになるとともに、世界から日本へ旅行者を呼び込む施策にもなる。双方向から日本の旅行業界を活性化に寄与する」とのメッセージを寄せた。


▼Expedia +の概要

ポイントプログラム

ステータスプログラム

VIP Access提携ホテルの例