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フェイスブック・ジャパンの担当者に聞いてきた、最近のトレンドは「動画再生が前年比75%増」

ソーシャルメディア(SNS)の活用は、ユーザーにとってもマーケティング担当者にとっても日常になりつつある。観光事業において、その活用はタビマエ(旅行前)の需要創出、タビナカ(旅行中)の顧客獲得、タビアト(旅行後)の体験共有など消費者行動の一連のサイクルに関わるため、欠かせないマーケティングツールともいえるだろう。今回は、SNSの王道ともいえるFacebook Japanの日高久美子氏に、Facebookユーザーのトレンドを聞いてきた。


トレンド1: 日本の急速なモバイル化が顕著 -95%に到達

日高氏は、近年のユーザーのトレンドとして「当たり前のことですが・・」と前置きしつつも「モバイル化」「スマホシフト」を挙げる。世界の人々のスマホ普及率は年々増加を続けているが、同社はそれに対応すべく、当初は商品開発チームにモバイル担当のチームを配置していた。

しかし、ザッカーバーグCEOは、2012年頭から開発においてモバイル上のモックがないものはレビューしなくなった。モバイルファーストで開発を進める体制をいち早くスタートしたということだ。しかし、2012年に上場した時点で同社のビジネスモデルである広告事業でモバイル経由の実績はゼロ。そこから、2015年第2四半期には7割以上の貢献となる急成長を遂げたという。

この広告事業の急成長ぶりからも、世界の「モバイル化」「スマホシフト」を読み取ることができる。

日高氏は、特に日本人がその傾向が顕著であることを指摘する。日本人のFacebookへのスマホからのアクセスは、2015年6月末に95%以上に達した。世界の平均が8割程度となっていることと比較すると、その特徴がわかる。この特徴は、非常に速い段階から顕著で、日高氏は「米Facebookは、日本のモバイル環境から学ぶところもあった」ことを明かした。


トレンド2: 動画投稿が1年で75%増加 -観光コンテンツで変革を

日高氏は、ユーザートレンドの2つ目として「動画」を挙げる。ネットの接続環境やモバイル技術の進化で、スマホで動画が簡単にみられるようになった現在、フェイスブック利用者の動画再生は全世界で1日あたり40億回にものぼる。世界各国で同様の傾向で、動画再生は1年で75%増加したという。

企業がプロモーションで動画を活用する事例も増えている。2015年初めから、動画の投稿は40%増加。中小企業であっても一か月一つ以上の動画をシェアした企業は100万件以上にのぼる。

日高氏は、旅行・観光ビジネスと動画の相性について「トラベルは、コンテンツが豊富。撮影できるビジュアルがたくさんあって、観光事業者がユーザーとコミュニケーションを図る上で相性がいい」と語る。さらに、コンテンツの多彩さから「観光からイノベーションが起きてもおかしくないのでは」と提起する。

Facebookユーザーは、世界で15億人に達するのが目前だ。日本人ユーザーは、2400万人に拡大し、その3分の2が毎日訪問するアクティブユーザーだという。そこにはITならではのビックデータも存在する。

たとえば、2011年頃にユーザーが所在地を頻繁に投稿する傾向に気づいて開発された「チェックイン機能」。旅行者に、どの場所の人気が高いのか、どこに行ったのか、どこにいたのをシェアしたかったのか、などの観点からそのデータを眺めることができる。

米調査会社の調査によると、SNSへの投稿は3つに1つが休暇関係の内容であるという結果も報告されており、SNSのビックデータを活用することで旅行者のトレンドが見えてくる。Facebookは、SNSの王道としてユーザーの母数が大きいのが特徴。そこから見えるトレンドは、旅行者の一連のサイクルにコミュニケーションしていくうえで欠かせないデータといえそうだ。

トラベルボイス編集部: 山岡薫