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米フォーカスライト・カンファレンス2016開催、世界の注目は「タビナカ」「人工知能(AI)」「音声認識応答」 に

旅行調査の世界大手フォーカスライト社による国際カンファレンス「フォーカスライト・カンファレンス2016」が2016年11月14日から4日間の日程で開催された。参加者は43カ国から1800名を超え、過去最多を記録。メインステージでは、オンライン旅行会社のエクスペディアCEOやブッキングコムCEO、中国最大の旅行会社Ctripの戦略最高責任者など、世界のトッププレーヤーが続々と登壇し、合計23の基調講演やセミナー、パネルディスカッションなどのセッションがおこなわれた。

これからの注目は、「タビナカ」「人工知能(AI)」「音声認識応答」

一連のセッションで通して浮かび上がってきた注目ポイントとして、「タビナカ」「人工知能」、そして「音声認識応答」が挙げられる。なかでもタビナカはすでに大きく動き始めていることが読み取れた。

旅行を時間軸で考えたとき、旅行計画や予約をおこなう旅行出発前の「タビマエ」、旅行中の「タビナカ」、旅行終了後の「タビアト」に区分けできる。

これまでは航空券やホテルといった旅行のメインパーツでの購入にも直結することから、「タビマエ」に主軸が置かれていた。またかつては旅行中の情報収集や予約手段も限定的だったこともタビマエが重視されてきた。

それがここに来て、スマートフォンの登場により、旅行者は旅行中、つまり「タビナカ」において、スマホで容易に情報の収集は言うまでもなく、予約までできるようになった。その旅行者の行動変化をとらえ、今回のカンファレンスのセッションのひとつに、タイトルも「タビナカの時代がやって来た(”In Destination” Has Arrived)」と題した講演とパネルディスカッションも開かれた。

最初に登壇したのはレストラン予約の世界最大手「オープンテーブル」のクリスタ・カーレスCEO。「旅行中に計画することの優先順位」についての調査結果を挙げ、レストランが47%、名所観光46%、やアクティビティ31%と、タビナカでの旅行者の行動を紹介した。

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またアクティビティ予約の世界最大手「ビアター」のバリー・セイデンバーグCEOは、タビナカの中心的な役割を演じる現地発着ツアーなどのいわゆる「アクティビティ」が、世界市場で1300億ドル(1兆4430億円)規模であることを挙げ、その重要性を強調した。

次に、人工知能(AI)については、やはり複数の登壇者が観光・旅行におけるこれからのインパクトを挙げていた。その先にあるのは個別識別による、その個人だけに向けたサービスである。そのことは同カンファレンス前半に開催された「トラベル・イノベーション・サミット2016」で多出したことからもトレンドを感じ取れた。

トラベル・イノベーション・サミットとは、情報技術(IT)を活用した新サービスのコンテスト。旅行・観光に関するイノベーティブなアイデアが競われることでも知られていて、カンファレンス期間中の数あるイベントでも人気が高い。22名のファイナリストによっる最終プレゼンテーションで、今年はAI技術を用いた多くのアイデアが発表された。今後、AI技術を応用した旅行・観光サービスが数多く登場することを予感させた。

最後に音声認識応答テクノロジーについても多く議論された。サウンドハウンド社のキャシー・マクマホン副社長は、1980年からの技術進化のトレンドを振り返りながら、現在は音声認識応答の技術を世界トップクラスの企業が競って精度を高めていると指摘。やがて予約や変更といったことが、文字入力ではなく、音声入力でロボットが音声応答する、という世界はそう遠くないとした。

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トラベルボイスCEO 鶴本浩司