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変わる旅行会社のインバウンド手配、効率化と品質向上を両立させるポイントをANAセールスに聞いてきた (PR)

昨年、訪日旅行者数が遂に2400万人を超えた。この3年間で1000万人以上も増加したことになるが、同時に旅行者の多様化も急激に進行。迎え入れる国内旅行会社では、業務の煩雑化が進んでいる。予想を上回る勢いに社内体制の整備が間に合わずチャンスを取りこぼしているという悩みが聞かれることも少なくない。

今年は、国内で旅行手配を行うランドオペレーターの法制化も予定されており、取り組むべき課題は多い。そんな中、旅行会社は受注数を落とさずにどんな対応ができるのか―?業務の効率化と品質維持の面で成果を出しているANAセールスのインバウンド対応を聞いた。

市場の急拡大で変わるインバウンド手配

ANAセールス 訪日旅行部 福永氏

ANAセールスがインバウンド事業で扱うのは、海外の旅行会社などをクライアントとする日本国内のランド(地上)手配。台湾からの訪日パッケージツアーをはじめに国や自治体の招請事業の企画を中心に、最近では香港や中国のオンライン旅行会社(OTA)からの手配依頼も増加している。政府が訪日旅行の誘致(VJ事業)を掲げた2003年以前から手配業務を行なってきたが、訪日旅行部訪日旅行課マネジャーの福永誠氏と、同アシスタントマネジャーの水谷宏江氏は、以前に比べて「仕事の種類が増えてきています」と業務内容の変化を語る。

政府のビザ緩和策を背景に個人旅行(FIT)化が進み、「LCCやOTAを使う旅行者の増加は実感しています」と水谷氏。また、福永氏は訪日旅行者の多様化による手配の手間を指摘する。

例えば、食事対応。

訪問先がゴールデンルート以外にも広がりつつあるなか、「地方でのムスリムのお客様の食事手配が難しい。大手居酒屋チェーンなどで対応できることもありますが、今後さらに地方への旅行が増える傾向にあり、悩ましいところです」。こういうレストラン手配はリストになければ1軒1軒、電話で問い合わせをしているという。

さらに「取扱件数が増えれば、旅行中のアクシデントも増えます」と水谷氏。携行品の紛失や盗難といった事件・事故からケガ・病気まで、滞在中は日本にある手配会社を頼って連絡をしてくるという。「お客様が保険に加入されていない場合は警察などの窓口を紹介します。入院などで延泊や帰国便の変更などが必要になったり、通訳者の依頼を受ければ、その手配も発生します」。取扱件数が増加すれば、新たな業務が発生する。成長期にある現在のインバウンドを取り込むには、何よりも効率的な手配を行なう基盤整備が不可欠だ。

旧体制からの変化が急務、新システム導入へ

しかし、ANAセールスでは根本的な課題を抱えていた。「2年前に異動して驚いたのですが、訪日旅行部は紙ベースの手作業が多く、1人の担当者が企画から造成、販売、予約まで行なっていました」(水谷氏)。急増した需要に体制整備が追い付かず、「毎日残業しても終わらず、始業時と終業時の手配待ち件数が同じという日が続いていたのです」。

手配内容を出力し、部署内に並ぶキャビネットに台帳を保管。問い合わせごとに席を立ってピックアップし、精算業務であれば日本語の請求書を現地語に訳してフォーマットに手入力し、捺印してファックスで送る。以前の市場規模に対応したノウハウでは、人員を倍増しても作業量は減らず、スタッフに相当な負担がかかっていた。

そんな業務のピークだった2015年4月、株式会社ウィンシステムの訪日旅行業務支援システム「Travel Studio Inbound」の案内を受け、導入を決めた。ANAセールスの特徴に応じたカスタマイズ等を経て、同年7月にカットオーバーすると、業務量は従来の体制の半分以下に縮小したという。

システム導入を成功させる3つのポイント

ANAセールス 訪日旅行部 水谷氏

導入決定からカットオーバーまで、要した期間はわずか3か月。短期間で成功した理由には3つのポイントがあるようだ。

開発を担当した水谷氏が語った「一般職のスタッフに任せてもらえたこと」は1つ目のポイント。手配の実態を知るからこそ、必要な機能の優先順位を選別できた。水谷氏がシステム開発に携わったのは今回が初めてだったが、「エンジニアに直接、現状の悩みを聞いていただき、具体的なイメージを伝えることができました」と、エンジニアとの信頼関係を築けたことも、2つ目の成功ポイントといえるだろう。

そして、3つ目はシステム刷新における最大のポイントでもある、実際に扱うスタッフの活用。これも、「コーチングに最も時間をかけ、丁寧に行なっていただいたので、スタッフも前向きに取り組むことができました」。水谷氏の信頼感が全スタッフにも浸透し、新体制へのスムーズな移行に繋がったのだろう。

導入したシステムで、水谷氏が特にこだわったのがカスタマイズで追加した「メール機能」。ANAセールスのセキュリティ規定上、社内のシステムと外部のシステムの直接連携ができないため、以前は手配内容を顧客にメールで送る業務は手間がかかった。それを今回、Travel Studio Inboundで管理する手配内容をわずかな操作でメールに添付し、メール本文は複数の定型文を用意することで、所要時間の大幅な削減を実現。実務をしているからこそ、効果の大きさを説明でき、追加契約の許可が得られたという。

また、ホテル手配では国内旅行を含む全体の在庫を利用するのがベストだが、これも在庫を管理する同社の基幹システムとの直接連携ができないため、基幹システムに入っているホテルとその料金のリストを、Travel Studio Inboundに登録。キーワード検索で該当ホテルの料金を引き出せるようにすることで、両システムの独立性を保ちながらも手配業務の簡略化を実現した。

こうした実績を踏まえ、2016年4月に設置した団体旅行部門でもTravel Studio Inboundを導入。特に団体旅行の手配の複雑化を受け、迅速な見積り提出をサポートする「団体見積」を追加契約した。見積りに2日間程度かかる場合もあり、受注に繋がらないケースがあったためだ。受注が伴わない見積作業を効率化し、生産性の向上を図る狙いもある。また、取扱地域が拡大したことで、見積書や行程表などを現地の言語で出力できる「多言語機能」の活用も増えると見ている。

量から質への変化のなかで

業務の効率化以外にも、手配スキルの共通化が図れるようになったほか、実績管理ツールなどはセールスやマーケティング担当者も活用できると好評。導入効果は各部署で実感されているところだ。

団体旅行の煩雑な見積依頼や修正要望にも即対応。それらの履歴も管理。最大4パターンの人数を同時に算出し、社内原価表で利益率も調整。見積の行程、料金情報をカルテに反映できるので、取りこぼしを最小限にしながら業務を短縮できる。

注目したいのは、業務の質の向上。“ANA品質”にプライドを持つANAセールスだが、それでも半年に1度くらいは、どうしても人的ミスが発生してしまう。しかし、Travel Studio Inboundの導入後は人的ミスがなくなった。「気が付かないうちに品質が上がったといえると思います」と、水谷氏は思いがけない効果が得られた喜びを語る。

量の拡大への対応が課題だったインバウンド手配だが、2017年は質への対応が求められることになる。観光庁が推進している観光関係の規制・制度の見直しで、訪日オペレーターの制度化が検討されているのだ。これは、悪質な業者の手配による苦情や被害報告を踏まえ、オペレーターの禁止行為や罰則を整備し、訪日旅行の質と安全を保つのが目的。契約時の書面交付や保管などの義務化も見込まれており、品質向上とその管理のサポートも期待できそうだ。

中国語(簡体・繁体)、韓国語をはじめ、オプションとして各国言語を利用可能。外国語で登録した文言を回答書や見積書に挿入できるので、手入力をしなくても簡単に作成することができる。

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【問い合わせ先】 info@travel-studio.jp /電話 044-738-2260

記事:トラベルボイス企画部