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大手銀行が「民泊」を支援、みずほ銀行と民泊Airbnbが提携、神社・駅舎・社宅なども民泊施設として開拓へ

大手民泊プラットフォームAirbnb、みずほ銀行、Blue Labの3社は、住宅宿泊事業の普及・拡大や観光需要の創出を目的とした業務提携契約を締結した。国内銀行がAirbnbと連携するのはこれが初めて。Blue Labは、今年6月30日にみずほ銀行とベンチャー投資会社WiLが、多様な先端技術を活用した次世代ビジネスモデルの創出や事業化を支援する目的で設立した合弁会社。Blue Labにとっても初めてのパートナー提携になる。

今後3社は、Airbnbが持つ民泊プラットフォームや体験旅行に関する知見と、みずほ銀行の幅広い顧客基盤を活用し、リノベーションを含む住宅宿泊施設の供給、新たな旅行体験の形成、民泊周辺ビジネスの創出などで連携し、空き家対策や地域活性化に貢献していく考え。また、みずほ銀行は、宿泊施設オーナーや周辺ビジネスを介する事業者への投融資を検討していく。

Blue Lab社長で、みずほ銀行常務執行役員の山田大介氏は記者会見で、「2020年の東京オリンピック/パラリンピックを控え、遊休資産を活用していくことで、空き家対策や地域活性化を図っていくことは社会的正義」と強調。みずほ銀行の顧客ネットワークを活用して、住宅だけでなく社宅、駅舎、神社など隠れた資産も民泊施設として開拓していく方針を示した。

また、このほど成立した住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)について触れ、「民泊は成長の余力がある分野。当面は民泊新法下の物件の開拓に注力していく」とコメント。ただ、将来的には旅館業法に基づく宿泊施設の開拓も考えていくと付け加えた。

Airbnb Japan代表取締役の田邉泰之氏は、「(物件の開拓は)Airbnb一社では限界がある。将来の成長のためにはパートナー企業や自治体の協力は不可欠」と話し、広範な顧客基盤と地域ネットワークを持つみずほ銀行との提携の意義を説明した。また、2016年には訪日外国人のAirbnbユーザーが370万人に達し、急速に市場を拡大させているなか、「日本のコンテンツを充実させていくことが大切」との考えも示し、地域活性化で貢献できるサービス創出の必要性を訴えた。

このほか、田邉氏は日本市場での課題についても言及。クリーニング、コミュニケーション、保険など周辺ビジネスを拡充させ、近隣との共存を進めていく日本独自の仕組み作りが必要としたほか、旅行市場で新しい価値や経済効果を生む「体験」コンテンツの充実に力を入れていく考えも示した。

Blue LabとAirbnbは、スタートアップ企業やみずほ銀行の顧客に対して「成長の機会を提供していく」(山田氏)ための詳細なプランを今年度内に詰め、来年度からサービスを開始していく予定だ。

取材・記事 トラベルジャーナリスト 山田友樹