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東北6県の夏祭り2017、来訪者数は1549万人で震災前に届かず、ユネスコ無形文化遺産登録で2割増の地域も

日本銀行の東北4支店(青森、秋田、仙台、福島)はこのほど、2017年夏に東北6県で開催された主要夏祭りへの来訪者数(入込客数)を発表した。

それによると、2017年の来訪者数は1549万人で、2016年の実績(1541万人)をわずかに上回った。東日本大震災以降持ち直しているものの、震災直前の2010年の水準(1597万人)にはいまだ届かない状況だ。

都道府県別にみると、来訪者の最多は青森県で前年比5.9%増の712.2万人。次いで多かったのは秋田県(4.0%増の257万人)、宮城県(21.8%減の178.6万人)。さらに岩手県、山形県、福島県と続いた。

2017年の特徴として、2016年12月にユネスコ無形文化遺産に登録された「日本の山・鉾・屋台行事」に含まれる祭り5種類については、旅行ツアーに組み込む旅行代理店の増加や東北以外に関東・関西県の観光客からの問い合わせの急増が見られた。特に、青森「八戸三社大祭」、秋田「花輪ばやし」「土崎みなとまつり」では増加率が多く、前年比2~3割増となる好調ぶりをみせた。

そのほか、一般客が踊り手や担ぎ手として参加できるような「観光客向けの参加型祭り」で拡大傾向がみられた。

訪日外国人観光客は、大型クルーズ船の寄港増加や海外定期航空路線の新規就航による増加のほか、北海道新幹線を使った函館からの周遊客も増加。大型クルーズ船客への対応として、港湾としない中心部を結ぶ交通インフラ整備などのほか、多言語対応音声ガイドの導入の動きなどもみられた。

全体の消費傾向としては、天候不良による清涼飲料やビールなどの売上減少が見られたものの、多くの祭りで有料観覧席は完売に。また、SNSやテレビの宣伝による客単価の上昇や、市内飲食店が連携して提供した夏まつり期間後の宴会プランも好調。「ハレの日のコト消費」の底堅さがみられた。

宿泊施設も、期間中はほぼ満室が多数を占めた。特に、ユネスコ無形文化遺産に登録された地域では、予約の早期化や開催地周辺の施設でも稼働率上昇が確認されたという。