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AI活用で外国人旅行者に「寄り添う」新アプリ、「呼びかけ」機能で旅行体験を豊かに、JTB・ナビタイム・マイクロソフトが共同開発

JTB は、ナビタイムジャパンと日本マイクロソフトとの共同で訪日外国人旅行者向けスマートフォンアプリ「JAPAN Trip Navigator」を開発、2018年2月22日から提供を開始した。まずはiOS版をリリース、来月にはアンドロイド版の提供も開始し、2020年までに200万ダウンロードを目指す。

開発にあたっては、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を基盤として、JTBが持つ観光情報とナビタイムジャパンのアプリ開発技術と移動経路情報を活用した。

発表会見でJTB取締役訪日インバウンドビジネス推進部長の坪井泰博氏は、「JTBが強みとするヒューマンタッチとデジタルを融合させ、増加する外国人FIT(個人旅行者)に寄り添うサービスを提供していく」と説明。地方自治体との連携で外国人旅行者の地域への誘客にも貢献していくほか、関連企業との提携も進め、タビマエとタビナカのサービスを拡充していく考えを示した。

JTBの坪井泰博氏

また、ナビタイムジャパン代表取締役社長の大西啓介氏は、同社が訪日外国人旅行者向けに提供している「NAVITIME for Japan Travel」について、2017年の利用者が全体の12.5%に達していると紹介。JTBとの協業では、「訪日外国人旅行者が増加していくなか、チャットボットなどで気軽に旅行してもらえるようにサポートしていく」と意気込みを示した。同社としては、JTBのアプリを介して、NAVITIMEのサービス利用を増やしていきたい考えだ。

ナビタイムジャパンの大西啓介氏

日本マイクロソフト業務執行役員コマーシャルソフトウェアエンジニアリング本部長のドリュー・ロビンス氏は、同社のプラットフォームについて説明。「AIやチャットボットなど新しい技術によって、新しいユーザー体験を提供していきたい」と話し、今後は蓄積したデータから最適なレコメンデーション機能の拡張などの技術支援をしていく考えを示した。

日本マイクロソフトのドリュー・ロビンス氏

JAPAN Trip Navigatorでは、札幌を中心とした北海道、東京を中心とした関東、京都と大阪を中心とした関西、福岡を中心とした九州、沖縄の5つのエリアで100通り以上のモデルプランを用意。プラン内のスポット数、所要時間、観光スポットの効率的な巡り方などの情報を提供する。モデルプランには、旅行情報誌るるぶのおすすめスポット3600件以上を含み、それぞれ詳細な情報を提示。ホテルなどの予約については、直接予約画面に誘導する機能も加えた。また、NAVITIME for Japan Travelとの連携で、詳細な移動経路や時間も検索できるようにした。

さらに、プランの編集機能「My Plan」では、モデルプランに含まれるスポットを並び替え、削除、新規追加など自分で編集することも可能。編集したプランを保存することができるだけでなく、複数のプランを作成することも可能にした。

このほか、最新技術も搭載。Assistant機能では、AIを活用してユーザーの利用状況に応じてユーザーに呼びかけを行う機能を装備した。また、チャットボットをアプリ画面に常設。観光スポット検索や問題解決に対してチャット形式で回答するほか、マイクロソフトのAIプラットフォーム「Cognitive Services」の画像認識機能によって、SNS上にアップロードされた画像の情報を調べることも可能にしている。

JTBでは、このような機能を通じて「ひとつのアプリでシームレスなサービスを提供できる環境を整え、添乗員が隣にいるようなサポートをしていく」(JTB訪日インバウンドビジネス推進担当マネージャー吉永善顕氏)。また、アプリの認知度向上では、同社の海外508拠点や現地提携旅行会社を通じてダウンロードを勧めていくほか、SNSでの口コミによる認知拡散にも期待をかける。

今後のサービス拡大については、無料Wi-Fiの実装を進めるほか、レストラン情報・予約、タクシー配車、チケット購入、現地体験などの要望が多いことから、タビナカのサービスを拡充していきたい考え(坪井氏)。対応言語も現在の英語に加えて順次増やしていく。さらに、アプリで得られる訪日外国人旅行者の移動データや嗜好データを分析することで、インバウンド戦略に取り組む自治体や企業へのサポートにも力を入れていく。