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スカイマーク、2019年にサイパン線を新規就航へ、拡充続ける路線計画から新型機材導入まで成長戦略を聞いてきた

スカイマーク・エアラインズは、新たにサイパン線を就航する。このほど開催した記者懇談会で、同社社長の市江正彦氏が今後の事業計画とともに、サイパン線について「2019年6月以降の就航になる」との見通しを示した。日本/サイパン線は、2018年5月にデルタ航空が成田線を運休し、現在は定期便のないオフラインの状態となっていた。

同社の事業計画では、今年8月と来年5月にボーイング737-800をそれぞれ1機導入し、保有機材を29機に拡大。サイパン線の就航はそれ以降になる見込みで、まずは週2便ほどのプログラムチャーターで開始し、将来的に定期便化を目指していきたい考えだ。また、発地については、市江氏は「成田になるだろう」との見解を示した。

同社は今年5月に北マリアナ政府との間で日本/サイパン線の就航に関する基本合意(MOU)を結んだ。市江氏によると、スカイマークはすでに保有するボーイング737-800でETOPS(Extended-range Twin-engine Operational Performance Standards)を取得していることから、「サイパン側から打診を受けた」という。

サイパンを含む北マリアナ諸島への日本人旅行者の需要については、「旅行会社からの話を総合すると潜在力はあると思う」とコメント。デルタ航空も不採算路線になったため撤退したわけではないとし、177席のボーイング737-800での運航に期待を寄せた。なお、同社は今年2月に同社初となる国際線として羽田/仁川線で2往復のチャーター便を運航している。

スカイマーク社長の市江氏

今後の機材では自社保有も計画

このほか、専務取締役執行役員の本橋学氏が事業計画を説明。成長に向けた取り組みとして、自社養成パイロットの拡大に注力していく方針を示したほか、顧客満足度(CS)No.1を目指す取り組みとして、今年4月にCS推進室を立ち上げたことを紹介。また、引き続き定時出発率No.1に向けた取り組みを強化していく。

機材については、これまでは保有機26機すべてリース機だったが、そのうち3機の買い取りを実施。コスト低減やCF改善につながることから、今後もその割合を増やしていく考え。さらに、来年上期でボーイング737-800の生産が終了することから、後継機の選定にも着手する。今後の成長を見込み、「200席は欲しい」(市江氏)ことから、候補機はボーイング737MAXあるいはA320neoになると予想される。

スカイマーク専務取締役の本橋氏

2020年9月までの上場へ、路線拡充など引き続き成長戦略を

国内路線計画では、今年8月から中部/鹿児島線(2往復)と鹿児島/奄美大島線(2往復)に新規就航。さらに、羽田など24時間空港の利点を活かした深夜早朝便については、「旅慣れた旅客が多く、搭乗率は90%近い」(本橋氏)ことから、7月からは便数を拡充し、機材効率をさらに改善していく。

4月に民営化された神戸空港については、現在1日30往復便に制限されているが、地元自治体や経済界が規制緩和を議論していることから、その動きを注視していく。同社は現在神戸空港で1日22往復便、制限便数の70%近くのシェアを持っているが、「神戸は後背人口が多く、需要はある」(市江氏)と将来的な増便に期待をかけているところだ。

同社は今後も引き続き「第三極の航空会社として独自性を発揮していく」方針。そのうえで、2020年9月までの株式上場を目指し、成長戦略を推進していく考えだ。

取材・記事 トラベルジャーナリスト 山田友樹