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ゆこゆこ、別府・鉄輪温泉で廃業旅館をサテライトオフィスに、他温泉地での展開も視野

宿泊予約サービスを提供する「ゆこゆこ」ホールディングスは、別府・鉄輪温泉にサテライトオフィスを開設した。廃業した旅館を改築して開業したシェアオフィス「a side-満寿屋-」(a side)をサテライトオフィスとして利用し、約30名の社員を短期交代で派遣する。

地域に入り込み、現地の生活やシェアオフィスでの体験をもとに企業人事に対する法人営業も行ない、ビジネスニーズでの送客にも取り組む。社内の働き方改革の一環としての取り組みと営業機会の拡大、エリア送客による地域貢献を図る3つのねらいがあるという。

ゆこゆこでは今年から、地域全体への送客を図るエリアマーケティングを強化しているところ。まずは九州で着手し、同社サイトでの特集掲載やJリーグ大分トリニータのスポンサー契約などを行なっていた。その取り組みのなかで、a sideを知ったのが本事業のきっかけだ。

これと同時にゆこゆこでは、働き方改革に応じた人事制度の設計にも取り組んでいた。サテライトオフィスの開始にあたって、温泉地に住むように仕事をすることをコンセプトにしたオリジナルの人事制度「ゆこワーク温泉地勤務型」を設定。東京オフィスの社員を1~2週間、希望に応じて派遣し、貸間旅館(長期の湯治客用の旅館)に滞在して、サテライトオフィスで勤務する。チームやプロジェクト単位でサテライト勤務を希望し、合宿的な利用をするケースもあるという。

総務人事グループマネージャーの三瓶智子氏は、「従来の宿泊施設向けの営業だけでは、他のOTAと同じになってしまう」と、ゆこゆこが地域との結びつきを重視し、エリア送客に取り組む理由を説明。さらに地域には交流人口の活性化や空き家・空き旅館問題などの課題があるとし、自社の活路を見出す取り組みで、「地域課題の解決と価値創造を図る一助にもなれば」との考えも語る。

ゆこゆこがサテライトオフィスを開設するのは今回が初めて。オープンから約1か月だが、「シェアオフィスには想像以上に様々な人が集まり、これまでには得られなかった人脈と発想が生まれた。新たな取り組みも始まっている」と三瓶氏。「こうした取り組みを各企業の人事に説明すると、関心を持たれる」と、ビジネス送客に向けた手ごたえを語る。まずは鉄輪での取り組みを軌道に載せつつ、他の温泉地でも横展開させていきたい考えだ。