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MaaS時代に通信事業者ビジョンがハイヤー事業に参入した理由とは? 旅行者ニーズから生まれたサービスとその狙いを聞いてきた(PR)

新たな移動の概念のMaaSに注目が集まるなか、海外旅行者や訪日旅行者向けのWi-Fiルーターレンタルを行なうビジョンが、ハイヤータイムシェアリング事業「ProDrivers(プロドラ)」を開始している。通信事業者のビジョンが、なぜ異業種といえる旅行者向けのハイヤー事業に乗り出したのか? プロドラの陣頭指揮を執る、プロドラ戦略企画室統轄の本田雄一郎氏は「当社が提供するグローバルWiFiユーザーのニーズに応えることがスタートだった」と話す。旅行者ニーズから生まれたプロドラのサービスと同社が参入を決めた背景を責任者に聞いてきた。

顧客ニーズの追求で参入

プロドラが提供するのは、国内での自社運行を含むハイヤーの送迎サービスと、海外の空港送迎やチャーターでの送迎の取次ぎサービスだ。まず海外送迎を、世界150か国500都市で空港送迎の事前予約サービス「SmartRyde(スマートライド)」を手掛けるディーエルジービー(DLGB)と業務資本提携を締結し、2018年4月に開始。国内送迎は2社の運送事業者を子会社化し、2018年7月からスタートした。

当初は、同社通信事業の顧客企業の役員送迎やグローバルWiFi、NINJA WiFiユーザーの空港送迎などを想定していたが、事業開始から1年がたち、地方自治体の視察事業や旅行会社の旅行手配などで利用されるケースが増えているという。

MaaSが注目されるいま、自社運行を含むハイヤー事業を運営することについて本田氏は、「ユーザーと接する機会を持つことで利用実態が見え、真のニーズがわかる」と、自前でサービスを持つ意義を強調する。ニーズを捉えた経験を提供することがプロドラの大きな武器であり、従来の運送業になかった発想だという。

空港送迎であれば、タクシーやその他手段で対応できると思われるが、本田氏は「タクシーでは賄いきれない需要が多い。そこに当社はハイヤーを活用して対応している」とアピールする。特に国内送迎では、従来のハイヤー事業と大きく異なる独自のサービス設計が必要だったという。

プロドラ戦略企画室統轄の本田雄一郎氏

ハイヤーサービスに新たな概念

特徴は大きく3つある。その1つが、時間単位で利用できるハイヤーのタイムシェアリングサービスであること。従来のハイヤーサービスは企業の役員送迎などの定期的な利用に対する月額契約が多く、稼働時間よりも待機時間が長かった。しかし、ユーザーが求めるのは空港送迎のほか、観光送迎、ゲスト送迎、団体移動、通勤送迎など、必要な時に発生する移動手段で、そこに対応するには不定期でも気軽に利用できるサービスにする必要がある。そのためプロドラでは、待機時間を減らして車両の稼働率を上げる発想で、出発地から到着地までの時間貸しを実現したのだ。

2つ目は、運送業と旅行業のスキームで、国内移動の需要に幅広くサポートすること。タクシーやハイヤーの運送事業の認可では営業区域が定められているが、ユーザーのニーズは認可エリアにとどまらない。そのため、許認可を取得した東京23区・三鷹武蔵野エリアは自社運行のハイヤーサービスだが、認可外のエリアでは提携事業者のハイヤーを手配する。この場合は手配旅行となるので、ビジョンは2018年11月に旅行業登録を行なった。運送業と旅行業を使い分け、適正な取次方法と価格設定で対応できる体制を整えた。

運送業と旅行業のデュアルスキームで多様な移動需要に適切に対応

こだわりの車両タイプ

そして3つ目は、使用車両。ハイヤーでおなじみの黒塗りセダンではなく、アルファード(定員6人)とハイエースグランドキャビン(同9人)の大型ワゴンタイプに限定しているのも、プロドラならでは特徴だ。

その理由は、利用実態を見れば明らか。乗車定員に対し、プロドラの平均乗車人数はアルファードが2.8人、ハイエースが6.2人で大きく下回る。贅沢な使い方をしているように見えるが、スーツケースなど大きな荷物が伴う空港送迎ではセダンタイプの車種の場合、乗車人数は2名程度が限界だ。

本田氏は「ワゴンタイプ、特にハイエースの車両を当社の規模で揃えるハイヤー事業者は少ない」と胸を張る。タクシーにもアルファードや同等クラスとなる特定大型車の車種はあるが、「ハイエースグランドキャビンのような車両はない」という。もちろん他のハイヤー事業者に発注する場合も、ワゴン系の車両の多い事業者を探し、提携するようにしている。

人気の車種・ハイエースグランドキャビン。観光利用以外にも個人、法人問わず様々なニーズに対応できる

利用実態に気づいた旅行会社の手配が増加

事業を開始してみると、旅行・観光ならではの利用の仕方が見られるという。例えば、「観光やショッピングでは、車を待機させて手荷物は載せたまま身体一つで外出し、戻ってきたら同じ車両で次の目的地に移動する。人数が乗れることに加え、自由度の高い使い方ができることがフックになっている」と本田氏。「移動が変わることで観光体験が変わる」とアピールする。

こうした車両事情や観光需要での利用実態に即したサービスに気づき始めた旅行会社が、プロドラを組み込んだ商品造成を始めた。特に多いのが、地方自治体やDMO、地方の旅行会社などが業務視察の招請事業や外国人旅行者誘致を目的とするFAMトリップでの活用だ。

旅行業スキームでのプロドラ事業を担う旅行戦略企画室次長の川島一朗氏は、「個人旅行(FIT)化が進み、OTAが台頭する事業環境において、特に中堅旅行会社や地方の旅行会社ほど柔軟に利用している。ツアーでの足回りとしてハイヤーを活用することで、最少催行人数の壁を取り払うことができる」と、増加の背景を説明。プロドラに旅行会社の企画力をあわせることで、旅行会社の課題もクリアできるため、今後の集客機会が広がりそうだ。

さらに、海外からの出張者の送迎でも、途中に観光を絡めて利用するケースも増えている。「都内の名所は訪れたことがあるので、その他の観光地を含むルートを提案してほしいという依頼もある」と川島氏。ビジョンでは、国内15空港・26か所のグローバルWiFiのカウンターで訪日観光客向けのNINJA WiFiも貸し出しており、空港を出発/帰着とする訪日観光のトレンドを把握できるのも強みになっているという。

旅行戦略企画室次長の川島一朗氏

多様化するニーズと各運送事業者をつなぐプラットフォーム構築へ

ユーザー満足には、ドライバーの対応も重要な要素だ。これにもビジョンは、独自の教育システムを構築。安全運行のための基本事項はもちろん、所作や接遇などの細かな部分の教育も行なう。さらに全車両にAI搭載のドライブレコーダーを装備し、眠気や脇見といった危険の予兆があると、すぐにドライバーに警告するシステムを運用する。こうした自社品質が、他社ハイヤーを手配する際の基準にもなる。

プロドラを開始して1年。当初は車両10台、ドライバーは5~6人の体制だったが、2019年8月現在で車両は30台に増え、ドライバーも31人で稼働。運行数も初月の166件から順調に増え続け、2019年2月以降はほとんどの月で1000件を超えるようになった。

今後は、運送事業者としては旅行会社や訪日関連事業者との提携をさらに強化。ハイエースグランドキャビンのニーズに対応できる車両を増やしつつ、ファーストクラスのような体験を提供するVIP仕様の車両の導入も視野に入れている。「飛行機の上級クラスは無理でも、地上移動にゆとりを持ちたいというニーズは意外とある」と本田氏。現在でも、24時間体制のコールセンターで飲料水やおしぼり、チャイルドシートの搭載といった細部の要望を聞きとり、それに対応した車両サービスが好評だ。

旅行事業者としては、全国の運送事業者と提携を強め、日本各地でのニーズに応えるプラットフォームの構築を推進。実はハイヤーの手配では、情報発信が十分でない事業者が多いため、適切な運送事業者を探すだけでも苦労がある。その上、実際の依頼内容では単純往復の送迎だけではなく、周遊のニーズも少なくない。複数の認可エリアをまたぐルート設定やハイヤー手配は旅行会社にとっても骨の折れる作業だといい、こうした専門性の高い手配のサポートに、ビジョンは絶対の自信を示す。

「旅行会社にできることは旅行会社に任せ、それ以外でサポートが必要な部分をビジョンが担う」が同社のスタンス。本田氏と川島氏も、「旅行会社および既存の運送事業者とは競合ではなく、プロドラのプラットフォームを利用して、観光ビジネスも送迎ビジネスも一緒に大きくしていきたい」との思いを強調している。

広告:ビジョン

商品:ProDrivers(プロドラ)

問い合わせ先: info@p-drivers.com、03-5912-0166(TEL)

記事:トラベルボイス企画部