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韓国観光公社、日本人誘客で広告を韓流スターから転換、日本人モデル起用で「女子の日常」への共感に

韓国観光公社(KTO)は、日本市場で展開する旅行者誘致の広告を新コンセプトに変更し、その内容を発表した。

KTOでは2003年の韓流ブーム以降、韓流スターを起用した広告を展開。2014年には、旅行の個人化のトレンドを反映させた広告ブランド「Imagine your Korea」を立ち上げ、毎年1つのテーマのもとグローバル展開をしてきたが、今年は日本では日本市場に特化した広告に変更。日本人モデルを起用し、日本人の海外旅行市場で比重の高いミレニアル世代の20代女性をターゲットに、集中的なコミュニケーションを行なっていく。

KTO社長の安榮培(アン・ヨンベ)氏は「韓流スター起用の広告コンセプトとは異なり、日本人モデルが出演し、SNSなどで話題を共有していく。訪韓日本人の誘致目標に大きく寄与すると期待している」と、自信を示した。

注目したのは、技術の発達でいつでも気軽に旅行に行けるようになったトレンド。ブランドマーケティングチーム長の禹柄姫(ウ・ビョンヒ)氏は、「旅行はもはや特別なイベントではなく、ささやかな関心と理由でいつでもできる一つの日常になった」とし、「旅行が日常的になった観光客に、日常の関心事に寄り添った韓国の価値を伝える。韓国旅行が彼女らの日常になるようにストーリーを伝え、韓流スターではなく馴染みのある日本人モデルが見せる韓国の日常に共感し、語り合える広告にしていく」と、コンセプトを転換した背景と方向性を説明した。

このためKTOでは、20代女性の関心事について、SNSのハッシュタグとポータルサイトの検索を通じてキーワードを抽出。検証とカテゴライズを行なって、4つのキーワード「#インスタ映え」「#レトロ」「#グルメ」「#メイクオーバー」(イメチェン)に絞り、クリエイティブを制作した。

例えば、「#インスタ映え」では、韓国のフォトジェニックな場所や景色を探すフォトジェニック旅行、「#レトロ」は、若い世代に新鮮に受け止められている韓国のレトロなトレンドを探す旅といった内容。ソウルだけでなく地方も楽しめる文化と体験を、日本人モデルならではの感情を盛り込みながら表現した。

左から)KTO東京支社長の鄭辰洙(ジョン・ジンス)氏、社長の安榮培氏、広告に起用されたモデルの石坂友里氏、吉田沙世氏、ブランドマーケティングチーム長の禹柄姫氏

禹チーム長は「韓国を生活の延長として体験できる旅行先とするにはどうするべきかを考慮し、方法論を変えた」と、日本市場に特化した広告を展開することを強調。市場ごとに作り込んだ広告展開は日本以外では、中国で展開するという。

なお、KTOの統計資料によると、2018年の訪韓日本人旅行者数は約295万人。そのうち20代は約74万人で、4分の1を占める。また、KTOが毎年、各市場の消費者を対象に実施する韓国旅行のイメージ調査では、日本では全世代の中で20代の好感度が最も高い数値を示しているという。