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ANA連結決算、新型コロナで大幅な減収減益、当期純利益は75%減に、役員報酬の減額や一時帰休で人件費を抑制

ANAホールディングは、2019年度3月期連結決算を発表した。第3四半期までの業績は堅調に推移したものの、第4四半期は新型コロナウイルスの感染拡大による世界各国の入国制限措置や国内の外出自粛などの影響で国内外の移動需要が急激に減退。最終的に大幅な減収減益となった。

売上高は前年比4.1%減の1兆9742億円で、増減率は一桁にとどまったものの、営業利益は同63.2%減の608億円、経常利益は同62.1%減の593億円と大幅に減少。当期純利益は、特別損益として航空機の受領遅延やエンジンの不具合に対する補償金を計上した一方、Peach Aviationに係るのれんの減損を行ったことなどもあり、同75%減の276億円と激減した。

航空事業のうち国際線旅客は、新規路線の開設やハワイ線へのエアバスA380型機の投入などでネットワークを拡充し需要を取り込んだものの、新型コロナウイルスによって、1月末から中国線で需要減退。その後アジア線、北米線、欧州線、ハワイ線に拡がったため、旅客数・収入ともに前期を下回った結果、旅客数は同6.7%減の942万人、旅客収入は同5.8%減の6139億円となった。

国内線旅客は、好調なビジネス需要と訪日旅客の国内移動に加えて、ゴールデンウィーク10連休の需要を取り込むとともに、各種割引運賃を需要に応じて設定したことによって好調に推移していたものの、2月末からは新型コロナウイルスの影響で需要が大幅に減少した。その結果、旅客数は同3.2%減の4292万人、旅客収入は同2.4%減の6799億円となった。

LCCでは、昨年10月にバニラ・エアの運航が終了し、Peach Aviationとの事業統合が完了。同じく新型コロナウイルスの影響を受けて、旅客数は同10.6%減の729万人、旅客収入は同12.5%減の819億円となった。

なお、2021年3月期の連結業績予想ついては、新型コロナウイルスの影響が未定のため、現時点では発表はしていない。

このほか、役員報酬・管理職賃金の減額や従業員の一時帰休の活用などで人件費を削減する。さらに、航空機などの設備投資を見直す。今年4月に金融機関から1,000億円の借入を行うほか、融資枠として既存の1,500億円に加えて新たに3,500億円のコミットメントライン契約を締結。グループ各社の手元流動性の確保に努めていく。