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欧州各国が旅行再開へ規制緩和、夏休暇シーズンを焦点に、感染リスクと背中合わせも国内旅行から 【外電】

(写真:AP通信)

ジョンズ・ホプキンス大学によると、ヨーロッパでの新型コロナウイルスによる死者数は16万9000人を超え依然として終息の兆しは見えていない。そのなかでも、ヨーロッパ各国は夏のバケーションシーズンに向けて旅行規制解除の動きを見せ始めた。その現状をAP通信が伝えている。

ヨーロッパの旅行規制は国によってさまざまだが、ドイツ、フランスを含めた数カ国は、6月中旬にもヨーロッパ人の旅行に限り国境を開放する構えだ。しかし、現時点でヨーロッパ域内の旅行がいつ再開されるかは、まだ定かではない。

パンデミックの被害が最も酷い国のひとつスペインは、景気回復策として、スペイン国内でのバケーション旅行を6月下旬にも認めると発表。一方、海外旅行者の受け入れは7月までは再開しない。ペドロ・サンチェス首相は、「7月になれば、スペインは安全を確保したうえで、海外旅行者の受け入れを始める。旅行者が感染リスクに脅かされず、旅行者がウイルスを持ち込まないように万全を期す」と話す。スペインは世界有数の観光立国で、観光の停滞が経済に与える影響は大きい。

スペインでは現在のところ、県をまたいだ旅行は許されておらず、依然として多くの規制が課せられたまま。しかし、感染者数が多いマドリードやバルセロナなどでも、バーやレストランでは、テーブルの数を通常の50%に減らしたうえで、屋外での飲食が認められるようになった。

いくつかの海外沿いの県ではビーチも開放された。しかし、人数に制限があり、ビーチパラソルも約4メート離して設置することが求められている。

ドイツでは、バルト海沿岸の州で国内旅行が認められ、ベルリンでもホテルの再開が許可された。しかし、需要喚起策はこれまでは異なるようだ。ベルリン観光局は、都市観光は好まれないとの見方から、自然を訴求するキャンペーンを立ち上げる。

パリでは、依然として公共の公園は閉鎖されており、パリ市民はセーヌ川の土手やチュイルリー庭園の外で日光浴を楽しんでいる。5月25日からは、国境封鎖を一部解除し、他のヨーロッパから仕事や家族に会いに来る人々の入国を認めている。ただし、イギリスとスペインからの入国者については、14日間の自主隔離を引き続き求めている。両国ともフランスからの入国者に同様の措置を取っているからだ。

南仏ラグランモットのビーチ(写真:AP通信)イタリアでは、観光復興のために、6月3日に国内の地域間の移動を解除し、国境も開放する計画。すでに、制限つきながら地元のビーチに行くことは認められている。たとえば、北部のリグリア州では、海に浸かることと海岸線を散歩することは認められているが、日光浴はまだ禁止されている。

地元住民のみにひらかれたイタリア・ローマ郊外のオスティアのビーチ(写真:AP通信)ヴァチカンでは、数カ月ぶりにローマ法王がサン・ピエトロ広場で日曜日の祈りを捧げ、パリ郊外のルヴァロワ=ペレでは、ラマダン明けのお祭り「イド・アル=フィトル」に参加するため、マスクを着用し、1メートルのソーシャルディスタンスを取ったイスラム教徒約2000人がスポーツ施設に集まった。

ヴァチカン市国での祈りの様子(写真:AP通信)一方で、イギリスの海岸地域では、規制が緩和され、ドライブが認められた後でも、ロンドンや他の地域に対して、来訪しないように呼びかけている。ホテル、レストラン、観光地がまだ閉鎖中のウェールズでも、観光キャンペーンは時期尚早というスタンスを取り続けている。